ジャパンダイジェスト

都会の真ん中で収穫祭

9月25~27日、フランクフルト中心部のハウプトヴァッヘ(Haputwache)とロスマルクト(Rossmarkt)の間の広場で、今年で31回目となる収穫祭が開かれました。毎年この時期に、ヘッセン州農業クラブの主催で開かれているこのお祭り。今年は地元の農業関係者が140を超えるスタンドを出展し、都会の真ん中に巨大な農場を作り上げました。

会場に入って真っ先に目に飛び込んで来たのが、地元のかぼちゃ農家が作ったかぼちゃピラミッドです。秋晴れの空に映える鮮やかなオレンジ色のかぼちゃ。中にはハロウィン用に作られたジャック・オー・ランタンもあり、ワゴンに入った珍しい形のかぼちゃを手にした来場者が農家の人に調理法を聞く姿も見られました。養蜂農家のスタンドでは、機械で蜂の巣を撹拌して蜂蜜を抽出する様子を見せたり、りんご農家のスタンドでは、細粉したりんごを圧縮してジュースを作ったり、昔ながらの製法で作られたパンを売るスタンドでは、売り場の裏で生地を用意し、来場者の目の前のオーブンで焼いたりと、見ているだけでも楽しめるスタンドがたくさん。農作物の生育や成長過程についての展示、農業製品の使用法の紹介や農産物の加工方法の実演など、来場者が楽しみながら農家や農産物についての知識を深められる工夫が施されていました。

かぼちゃピラミッド
地元のかぼちゃ農家が作ったかぼちゃピラミッド

ほかにも、現代の農業技術の紹介や旧式のトラクターの実演展示、地元の農産物を使った実演調理、ヘッセンの伝統衣装を身にまとった農業青年会メンバーによる舞踊、狩猟用ホルンのコンサートなど、様々な角度から農業に触れるプログラムが満載。さらに、穀物を挽いて粉を作ったり、かごを編んだり、乳牛に見立てたオブジェで乳搾り体験をしたりと、大人も子どもも参加できるものもあり、街中にいながらにして充実した農業体験ができる内容となっていました。

数あるスタンドの中でも特に人気だったのが、仮設の飼育小屋にいる動物たち。牛や豚、馬、山羊などを間近で見ることができ、集まった人々は仔牛が乳を飲む様子や豚の親子が横たわる姿を興味深そうに眺めていました。羽毛製品の販売スタンドの横には鳥たちがいて、豚や牛のすぐ側でソーセージやハム、チーズなどを売るスタンドがあり、羊毛製品を売るスタンドの横で羊の毛刈りのデモンストレーションが行われたりと、普段消費している農業製品も別の命から来ているものだということを実感させる展示になっていたのが印象的でした。分かりやすく楽しみながら農作物や農業のことを知り、命の恵みと自然の実りを祝う素晴らしい収穫祭でした。

仮設の飼育小屋
仮設の飼育小屋では牛や馬、豚たちが来場者を歓迎

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。

 
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