情報通の地元日本人の間で、コーヒーが絶品でケーキもおいしいと評判のカフェ「Martella(マルテッラ)」。昨年夏にオープンしたばかりのこのカフェは、北海道出身の安藤千佳子さんが1人で切り盛りしています。
フランクフルトで一般企業の会社員をしていた安藤さんが、カフェに興味を持ち、本業の傍ら市内のカフェで週末だけアルバイトをしたのがそもそもの始まりだとか。平日はフルタイムで会社に行き、週末カフェで働くのは大変そうですが「好きなことをしていたから、全然苦にならなかった」と語る安藤さん。やがてお菓子作りを学ぶため、パリへ留学。ドイツ帰国後はお菓子屋さんに転職し、修行を積みました。さらにチェーンのコーヒー店に2年間勤務。そしてイタリアのローマを訪れた際、勉強のために立ち寄った家族経営のコーヒー焙煎所「Martella」で研修を受け、そのコーヒー豆に惚れてフランクフルトでの直売を決めたそうです。
「大好きなMartellaのコーヒーをドイツに広めたい」そんな思いからこのカフェをオープン。店主自らほれ込んだイタリア焙煎所直入のコーヒーと聞けば、飲まずにはいられません。まずはカプチーノをいただいてみました。深い味わいと芳醇な香り、余計な渋みや酸味がなくコーヒーのおいしさだけがしっかりと抽出されています。丁寧に泡立てたミルクは砂糖を入れなくてもほんのりと甘く、きめ細かなクレマ(泡)がコーヒーと相まって、思わず「はぁー」とため息がこぼれるほどのおいしさ。
一杯一杯丁寧に入れたコーヒーは格別
全自動のコーヒーマシンを使うカフェが多い中、ここでは手動で調節可能な特注のイタリア製エスプレッソマシンを使い、その日の天候に合わせて豆の挽き具合を変え、一杯一杯丁寧に入れているそうです。その後ブラックも飲んでみましたが、こちらはコーヒーそのものの味と香りを楽しめる一杯で、普段はミルク入りしか飲めない私もここのコーヒーはブラックでも心からおいしいと感じました。
抹茶ケーキやロールケーキ、スフレチーズケーキなど、日本人好みのおいしいお菓子も、コーヒーの味を一層引き立ててくれます。「一人でやっているからこそ、柔軟に対応できるんです」との言葉通り、お客さんからのリクエストや自分が作りたいと思ったお菓子が日替わりで提供されています。また、椅子やテーブルなどはのみの市で集めたアンティーク家具で、雰囲気の良い店内でおいしいコーヒーとお菓子をいただいていると、おなかも心も満たされた気持ちになりました。
コーヒーを引き立てる日替わりお菓子
店主自身がおいしいと思うコーヒーを最良の状態で提供し、要望に応えたお菓子を作り、一つ一つ家具をそろえ、好きなこと、やりたいことを形にした「Caffe Martella」は、訪れた人々に珠玉のひとときをもたらしてくれる素晴らしいカフェです。
Caffe Martella:http://caffe-martella-frankfurt.jimdo.com/
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。