去る7月26日、フランクフルトのレーデルハイム(Rödelheim)にある空手道場「健進会フランクフルト」で、琉球古武道の範士・玉寄英美(たまよせひでみ)10段の講演会が開かれました。沖縄で琉球古武道哲心館を主宰する範士は、ドイツのほかカナダなどにも支部を持ち、毎年夏に沖縄から欧州を訪れてセミナーを行っています。
フランクフルトの道場は、常心門空手道健進会の石塚茂師範が開設したもので、老若男女を問わず様々な人たちが空手道を学んでいます。石塚師範は日本でも選手として常心門大会に出場し、通算11回のMVPを受賞した経歴の持ち主。指導者としては東京の空手選抜選手の強化育成に12年間携わり、現在は本道場で空手道の指導と普及に尽力されています。
いつも夫婦一緒に欧州に来られる玉寄英美範士10段(右)
今回は、フランクフルトで空手道場を主宰する石塚師範と、空手の発祥の地とされる沖縄で古武道の道場を主宰する玉寄範士が合同で講演会を開きました。フランクフルト総領事夫妻も訪れ祝辞を述べられ、国籍を問わず武道に携わる人たちが参加しました。
残念ながら私はこの講演会には参加できませんでしたが、日本へ帰国直前の玉寄範士にお話を伺うことができました。沖縄には大小合わせて400を超える道場があり、初めは空手から入った玉寄範士も、やがて古武道と出会い、その道を追求するに至ったのだとか。空手が素手で戦うのに対し、古武道はヌンチャクやヤリ、鎌などの道具を使うのが特徴だそうで、それだけ難易度が高く鍛錬が要求されます。欧州でも熱心に修行に励む武道家がおり、毎年夏にチューリンゲン州ノルトハウゼン(Nordhausen)で行われる合宿には、玉寄範士の指導を受けようとロシア、スリランカ、パキスタンなどからも参加者が来るそうです。
「古武道を通した人との出会いが一番楽しみです」と話す玉寄範士。技術の向上だけでなく、いかに心を鍛えるかを課題に50年近く武道を追求。「今でも道着は自分で洗っています」との言葉通り、スポーツとしての強さよりも礼儀や伝統、修行としての道を求め、ダメージをいかに受け入れるかといった武道の精神を体現する姿に感銘を受けました。玉寄範士は「体力が続く限り毎年欧州に来たい」と話します。その言葉の通り、今年の講演会を皮切りに、今後もぜひフランクフルトでセミナーを開催してもらいたいと思いました。
流派、経験を問わず空手好きが週末に集まって自主稽古をする空手同好会
こうした日本の武道に興味がある方は、フランクフルトの道場でも石塚師範から常心門空手道を学ぶことができます。また同道場では、流派や経験を問わず同志が集まり空手を練習する同好会もあります。来年も玉寄範士の来独に合わせて古武道講習会を実施したいとのことで、今後の動向にも注目したいです。
Kenshinkai Frankfurt : http://kenshinkai-karatedo.com/ja/33-2
空手道(同)好会:
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2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。