近ごろは日本でも、ただ延命を目的とするのではなく、「Quality of Life(生活の質)」の向上に主眼を置いたホスピスの存在が知られるようになりました。ハンブルクには18歳以下の子どもたちのためのホスピス「Sternenbrücke(星の架け橋)」があり、行き届いた設備と丁寧なケアで注目されています。今回は、毎年5月1日に催されているオープンデーを訪ねてみました。
オープンデーには多くの人が足を運んだ
広い敷地の中にある建物の外観は別荘のようにも見え、内部は明るく清潔で、温かい雰囲気です。このホスピスは、不治の病を持つ子どもとそのご家族(両親と兄弟)が共に過ごせるような造りになっており、患者本人だけでなく、家族の精神的ケアにも心を配っています。入所できるキャパシティは12家族までで、一人の看護士さんが受け持つ患者さんは一人か二人と、時間をかけて、ゆっくりじっくりケアできるようになっています。痛みのコントロールにはハリ治療も用いているそうで、日本人の鍼灸師に指導していただいたのだとか。お医者さんだけでなく、カウンセラーも常駐していて、家族ぐるみでカウンセリングを受けています。
カウンセラーの方の話では、両親が本人に告知しないことを望んでも、子ども本人に正直に状況を伝えるそうです。自分が死ぬことを知り、悲しみを通っていくプロセスは必要だと話しておられました。子どもにとってはあまりに酷な話では?と思いますが、考えてみれば、「死」をしっかりと見つめて受けとめるからこそ、今ある「生」に感謝して、意義深く生きていけるということなのでしょう。
オープンデーの日はすべての施設が開放され、子どもたちは自宅に帰っていました。庭にはステージが設置され、様々なスタンドが立ち並び、ちょっとしたお祭りのような雰囲気で楽しく過ごせました。興味を持たれた方は、来年の5月1日、ぜひ訪ねてみてください。現在、18歳以上の若者のための施設を増設する計画があります。援助希望など、さらに詳しく知りたい方は、以下のホームページをご覧ください。
ホスピス内の明るい廊下
カバさんの診察台。子どもたちのための配慮が随所に
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?