長年ハンブルクに住んでいるけれど、まだ一度も行ったことがなかった場所の一つが、「ミニチュアワンダーランド」でした。「どうせ鉄道オタクのスポットでしょ、興味なーい」と避けていたのですが、周りからの強い勧めもあって行ってみました。
ところが! すごく楽しかったのです!! 世界各地の鉄道模型だけではなく、その街の風景や、そこに生活している人々の様子まで、小さな小さな模型で再現されていて、どんどんミニチュアの世界に引き込まれてしまいます。細かいところまで見入ってしまうので、2~3時間があっという間に過ぎるほど。とても見応えがありました。年間100万人以上が訪れるというのもうなずけます。
ミニチュアワンダーランドがある倉庫街
このミニチュアワンダ-ランドは、ハンブルク出身の模型好きの双子の兄弟、フレデリック& ゲリット·ブラウンのアイデアによって作られ、2000年にオープンしました。場所は世界遺産にも登録されている、運河沿いの倉庫街にあります。オープン当時は、「中部ドイツ」、「オ-ストリア」、そして架空の街「クヌッフィンゲン」の三つのエリアの模型でスタ-ト。そこから現在に至るまで、年々エリアを増やしていきました。現在は10のテーマに分かれたエリアが、総面積1545平方メートルの会場に広がっています。ハンブルク市はもちろん、バイエルン地方やスカンジナビア、イタリア、米国などのエリアがあり、さらに2021年にはリオデジャネイロ、2022年にはモナコ、南仏プロヴァンス地方の模型が完成しました。
ミニチュアで再現されたハンブルク!
スイスをテーマにしたエリアでは、3階から4階にわたって巨大なアルプスの山々が作られ、山岳鉄道がその合間を走り抜けます。時には大きな雨雲がかかって稲妻が光るなど、さまざまな仕掛けがあります。鉄道以外にも自動車や船が走り回り、風景の中が絶えず動いているのです。また見学者が自由に押せるボタンが各所にあって、その仕掛けに参加できることも魅力です。20分おきに会場の照明が落とされ、ミニチュアワンダーランドの夜景が楽しめるという心憎い演出も。
その技術力に圧倒されたのは、「クヌッフィンゲン空港」という架空の空港のミニチュアです。本物さながらの出発·到着便の掲示板があり、そこに表示される運行状況のとおりに飛行機が離着陸するのです。音響も、あたかも空港にいるかのような臨場感があります。実際に、ミニチュアワンダーランドには管制塔のような部屋があり、そこで技術スタッフたちがコンピューターの前に座り、飛行機はもちろん、電車や自動車など、動くもの全ての作動を確認していました。
鉄道少年(中年)のブラウン兄弟の夢はまだまだ進行中のようで、2027年までにアジアの国々のエリア拡大に挑戦するとか。いつか日本のミニチュアも見てみたいですね。
バチカン市国のサンピエトロ広場の模型
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。