Elbtunnel(エルベトンネル)と聞くと、ここハンブルクではラジオの渋滞情報でおなじみの、アウトバーンのエルベ川下を走るトンネルを思い浮かべますが、実はこちらは新しいエルベトンネルで、元祖エルベトンネルはハンブルク港にその入口があります。ハンブルク港(Landungsbrücken)と対岸(Steinwerder)を結ぶ旧エルベトンネル(Alter Elbtunnel)は今年、開通100周年を迎えました。
全長426.5メートルの旧エルベトンネル
このトンネルの特徴は、人も、自転車も、そして自動車もエレベーターに乗り、地下23.5mまで下りて、そこから平らなトンネルを行き、再びエレベーターで地上に出るというところにあります。トンネルの長さは426.5m。4年の建設期間を経て1911年9月7日に完成しました。このエレベーター技術は、当時としては画期的なもので、2003年に記念建造物に指定され、現在に至るまで保存されています。130人まで乗れる10トンエレベーターが4基、80人乗りの6トンエレベーターが4基、39人乗りの3トンエレベーターが2基あります。開通当初は便利な通行路として大いに重宝されていたようですが、1975年にアウトバーンの新エルベトンネル(Neuer Elbtunnel)が開通してからは、ノスタルジックな観光名所としての趣が強くなってきました。
現在、徒歩と自転車での通行は無料で、年末年始以外はいつでも利用できます。自動車で走る場合は、平日の5:30~13:00がLandungsbrückenから Steinwerder に向けて、13:00~20:00が逆方向の一方通行となっており(土日・祝日は通行止め)、片道2ユーロの通行料がかかります。徒歩の場合、エレベーターに乗らず階段を使うという方法もあり、途中でエレベーターが上下する様子を見ることもできます。
トンネルの入口。人も車も入っていきます
旧エルベトンネルの入口は、ハンブルク港の石造りの建物の一番奥にあるドーム屋根の建物内にあります。ここがトンネルの入口とはとても思えないような普通の建物なので、注意して入口を探す必要があります。「トンネルはどこ?」と思っていると、うっかり見逃してしまうかもしれません。たとえ対岸まで渡らなくても、100年前の最先端の技術に思いを馳せつつ、その建築や地下のトンネルを見物するだけでも十分に価値があると思います。ハンブルクを訪れる友人、知人を港までご案内する際、ちょっと旧エルベトンネルまで足を延ばしてみてはいかがですか?
www.hamburg.de/alter-elbtunnel
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?