オルガニストが憧れるパイプオルガンの名器、聖ヤコビ教会のアルプ・シュニットガー・オルガン。アルプ・シュニットガーというのはバロック時代のオルガン製作者の巨匠の名前です。ヴァイオリンならストラディバリ制作のヴァイオリンが名器として有名なように、オルガンならアルプ・シュニットガーというわけです。
ハンブルクの街の中心地にある聖ヤコビ教会に、アルプ・シュニットガーがオルガンを完成させたのは1693年。その年のイースター(復活祭)に、初めて完全な形でのオルガンの音を響かせました。その後、小さな修復を繰り返しながらその美しい音色を響かせ続けたオルガンですが、第2次大戦で戦禍が激しくなると、「爆撃によってオルガンが破壊される前に」とオルガンは分解されて、別の場所に移されました。そのおかげで、パイプなどの重要な部分が破壊されることなく、オリジナルで残されたのです。
これがアルプ・シュニットガー・オルガン
大戦後、アルプ・シュニットガー・オルガンの再生に向けて試行錯誤が繰り返されました。ようやくユルゲン・アーレントという「古楽器をオリジナルに近い形で復元させる」マイスターを得て、1992年に再び聖ヤコビ教会でこの名器が鳴り響きました。現代の技術を入れないでオリジナルの良さを残しているのが、このオルガンの特徴だそうです。ですから、このオルガンの良さが最も表れるのは、バッハまでのバロック音楽とのことです。
聖ヤコビ教会の外観
この記事を読んで「そのオルガンの音色をぜひ聴いてみたい」と思った方、聖ヤコビ教会のサマーコンサートに出かけてみましょう。今年は毎週火曜の夜8時から、チケットは当日券のみで大人7ユーロ(割引5ユーロ)、最終日は9月4日です。オルガンについてもっと詳しく知りたい方には、毎週木曜、 お昼の12時~1時に無料の オルガン見学会もあります。ただし説明はドイツ語のみですが…。
聖ヤコビ教会 JACOBIKIRCHE
Jacobikirchhof 22, 20095 Hamburg
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?