私の街のレポーター ハンブルク Hamburg

「博物館の長い夜」や「劇場の夜」など、「○○の夜」という名の付いたイベントがドイツ各地で開催されていますが、ハンブルクでは9月6日に「教会の夜（Nacht der Kirchen）」が開かれました。プログラムによると、このイベントに参加した教会はハンブルク市内で計119カ所にも上ります。

イベントは19:00にスタートし、24:00くらいまで各教会で様々なプログラムが用意されていましたが、さながら教会のオープンデー（Dayではなく、Nightですが……）といった様相で、教会内のガイド付き見学ツアーや、特設のカフェを提供しているところが多かったようです。もちろん教会なので、短い礼拝を行うところも多く、オルガンや聖歌隊のコンサートも目白押しでした。中にはジャズやポップのコンサートを開いたところもあり、さらには一緒に歌ったり、ダンスをしたりと、一般の人が興味を持って参加できるよう、各教会が工夫を凝らしていました。

街の中心にある聖ペトリ教会の鐘

伝統的なキリスト教会には塔が付き物。聖ミヒャエリス教会の塔は、ハンブルクの街並みを高所から一望できるスポットとして有名ですが、今回はハンブルク最古の教会である聖ペトリ教会の塔が無料で開放されるということで、こちらに上ってみました。尖塔の頂上までの高さは132ｍだそうですが、なんとそのギリギリまで上れるとのこと。ただし、エレベーターはないので、狭いらせん階段を自力で登って行かなければなりません。一度、時計の辺りで広いフロアに出てからは、塔内に足場の組まれた木の階段を上って行くことになり、上も下も丸見えなので、高さに対する恐怖が一層増します。鐘のすぐ側も通りました。昔は火事の際、教会の鐘がサイレンの役割も果たしていたそうです。

塔の周りに小窓が設けられている展望フロアが4層になっており、一番高い所まで行くと544段を上ることになるのですが、結局、私はその1段下のフロアまで行って断念してしまいました。それでも市庁舎をはじめ、ハンブルクの街並みを見下ろして、素晴らしい眺めを楽しむことができました。健脚で、高所からの風景が好きな人にはお勧めです。

聖ヤコビ教会で行われたモーツァルト・ミサ曲の演奏

その後、聖ヤコビ教会に移動し、礼拝に続いてモーツァルトのミサ曲を鑑賞しました。今年のテーマは「beherzt（勇気を持って）」。礼拝の中で、「私たちが祈るとき、世界のどこかで必ず誰かほかの人も祈っているので、私たちは孤独ではない」というメッセージが語られていたのが印象的でした。教会は満席で、このイベントが多くの市民に受け入れられているのだと感じました。

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井野 葉由美（いの はゆみ）
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら？