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ホスピスでの個展

「とても素敵な展示会があるから、ぜひ行ってみて」と知人から案内をいただいて、芦原伸子さんの「MOMENTE」という作品展示会に行ってきました。会場はHospiz im Helenenstiftというホスピス内で、芦原さんが会場にいらっしゃる日を確認してから出掛けてみました。

ホスピスの建物内は白を基調にした明るい空間で、その廊下の壁に芦原さんの作品がずらりと並んでいました。ふんわりと柔らかくも鮮やかな色彩は、モノトーンの壁に映え、居心地の良い空間を作り出していました。

芦原さんは、ドイツにて長らく日本企業にお勤めだったそうですが、数年前に思い立って、もともとお好きだった絵を描く仕事を始められました。

ハンブルク
ホスピス内に展示された作品の数々

彼女の制作方法は、ご自身の好きなモチーフを描くのではなく、依頼を受けた方にインタビューをして、その方の中から湧き出るイメージを絵にしていくのだそうです。

今回の展示会は、ここ3年間でそうして描いてきた人々のイメージ肖像画でした。「不思議なんですけど、似た絵は1枚もないんです。見事に1枚1枚違っている。それだけ、1人ひとりが違った存在なのだと分かります」と芦原さん。確かにそれぞれの絵を見ていると、その絵の持ち主がどんな方なのか、具体的にイメージが湧いてきます。

ハンブルク
作者の芦原伸子さん。穏やかな笑顔が印象的です

絵には、インスピレーションで浮かんだタイトルを付けて依頼者にお渡しするそうですが、絵の雰囲気と全く違うタイトルになることもあるのだそうです。それなのに、皆さん「そう、私にぴったりです。不思議。どうして分かったの?」と喜んでくださるとのこと。こういう一連のお話を聞いていると、芦原さんがなさっていることは、絵を通した一種のカウンセリングだと思いました。自分の内側に潜んでいる本当の私を引き出して、それを具現化してくれる。それが言葉ではなく絵であるため、受け取った依頼者が絵から受ける印象を自分で分析し、自己発見できる。押し付けがましくない、とても素晴らしい方法です。作品の中には、それぞれの人に対する芦原さんの愛も表れていて、絵を見ていると優しい気持ちになってきます。

今回の個展は終了しましたが、芦原さんが“のりま・えるま”というペンネームで描かれた『きみがいない』という絵本を、動画配信サイトYouTubeで見ることができます。BGMと相まって、とても素敵な作品となっていますので、ぜひご覧になってみてください。

www.youtube.com/watch?v=Topj8kFkXyE

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?

 
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