日本からドイツに来た当初、「この国は自動販売機が少ない」と思ったものでした。設置されている場所が駅の構内など限られているだけでなく、その種類も限られています。ところが最近、ハンブルク内には、ちょっと変わった、生ものを扱う自動販売機があることを知りました。
一つは卵の自動販売機。オッテンゼン地区の文化センター「モッテ」の裏にあります。そこでは1986年4月、大都市の真中で、自然の動物に触れる場所があったら良いだろうと、400㎡の敷地の周りに柵をめぐらし、鶏小屋を建てて、13羽の鶏の飼育が始まりました。広い敷地内を自由に動き回ることのできる鶏は、毎日10~12個の卵を産むようになり、それを販売するために、木製の自動販売機が作られたのです。お値段は5個で2ユーロ。2 ユーロコイン(それしか使えません)を入れて、蓋を開けて、卵を取り出します。卵は毎日売り切れたら終わりなので、お金を入れる前に、ちゃんと卵が入っているかどうか、窓から確かめる必要があります。売り上げは、鶏の飼育のために使われているとのこと。新鮮で健康な卵であることは間違いないので、興味のある方は、一度足を運んでみてください。Rohtestr.44から入るか、Eulenstr.35の隣の公園から入って行くと、鶏小屋にたどり着けます。ちなみに私が行った時は売り切れでした。
果物の自動販売機、いろいろな種類があります
もう一つは果物の自動販売機。最近紹介しましたエルベ川南のアルテス・ラント地区(Marschkamper DeichとNeuenfelder Fährdeichの角)にあります。その名も「Früchtetankstelle(フルーツスタンド)」。日本語にすると、そんなに変に感じませんが、ドイツ語だと、Tankstelleは普通ガソリンスタンドを意味しているので、最初看板を見た時は、「これはいったい何?」と思ってしまいました。「車が動くためにガソリンが必要なように、人間の身体のために果物の摂取が必要」ということでしょうか。こちらもお金を入れて、窓の扉を開く形式。5ユーロ、10ユーロ札も使えて、おつりも出ます。アルテス・ラント地区で採れる季節の新鮮な果物(リンゴ・ナシ・プラム・イチゴなど)だけでなく、100%ジュースや、自家製はちみつも売られています。果物にはグミの小袋、ジュースにはプラスチック・コップが添えられていて、無人の自動販売機ですが、販売者の気遣いが感じられました。果物の収穫時期に、この地方に遠足に来る方々に人気だそうです。
卵の自動販売機、この柵の後ろで鶏が飼育されています
このほかにも、ハンブルクには自転車のチューブや、ブレスレットの自動販売機もあるそうです。日本とは違う目の付け所が面白いですね。
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?