ジャパンダイジェスト

五感を使って遊べる子どもミュージアム・ツィノバー

ハノーファーのリンデン地区に、人気の体験型子どもミュージアム・ツィノバーがあります。このミュージアムは2000年に有志によって設立され、不定期に場所を変えて開催されてきましたが、2013年4月に現在の場所に一軒家を借りてオープンしました。レナーテ・ディッチャイドバートロッシュ代表は、もともと市内の近代博物館に勤務していましたが、子どもたちが楽しめるミュージアムを作りたいと長年願っていました。一部は有給の職員ですが、レナーテ代表をはじめ、多くのボランティアによって運営されています。月平均1000人が訪れ、家族連れはもちろん、学校の生徒や学童保育の子どもたちがやって来ます。特に長期休暇中は、朝から賑わいを見せています。

いろいろな遊びをしながら親子でのんびり
いろいろな遊びをしながら親子でのんびり

数カ月ごとに特別展を企画しており、現在は「私は何かを見ている、あなたは何を見ているの?」をテーマにした展示(3月1日まで)が開催されています。自然科学や芸術、観察を組み合わせ、だまし絵や透かし絵など、会場には不思議なものがいっぱい。展示は、「芸術と自然科学や数学を結び付けるものって何だろう」と問い掛けていて、手で触ったり、自分なりに試してみたりと、自らの五感を使って実験できるようになっています。自主性を大切にし、そのために手助けをするというスタンスで、ドイツ語が読めない子どもも楽しめます。

自分より大きなシャボン玉に夢中になる子どもたち
自分より大きなシャボン玉に夢中になる子どもたち

古い家を改造したミュージアムなので、中はアットホームな雰囲気。一番広い部屋のテーブルには木を素材にした様々なゲームが置いてあり、パズルを組み合わせて形を作ったり、同色のものをそろえたりして楽しめるようになっています。中には子どもと一緒に夢中になって遊ぶ大人も。すぐ横には台所があり、コーヒーやお茶、ときにはケーキが用意してあります。飲み物は無料ですが、少し寄付をすると喜ばれます。子どもたちが遊んでいるのを見ながら、大人たちはコーヒーでほっと一息。それほど広くないので、子どもを探しにあちこち歩き回る必要もなく、遊びに没頭する子どもたちの横でゆっくりできるのは、とてもありがたいことです。

最近は子どもの誕生日会を博物館で開くのが流行っているようですが、同館でも土曜日に3時間、貸し切ることが可能です。館の職員から展示についての説明を受けたり、一緒に実験をしたりゲームをしたりと、子どもたちに大好評なのだそう。楽しみながら学習ができるとあって、このミュージアムは保護者からも支持されています。

入場料: 子ども4ユーロ(3歳以下無料)、大人5ユーロ
Kindermuseum Zinnober
www.kindermuseum-hannover.de

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。

 
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