ハノーファーの歴史博物館で2019年2月24日まで、特別展「プレイモービルで歴史を遊ぼう(Geschichte spielen mit Playmobil)」が開かれています。9月2日の開幕祭には、多くの親子連れが訪れ、大盛況でした。
プレイモービルは1970年代に南ドイツで生まれたプラスチックのおもちゃで、たくさんの人形があることから、ごっこ遊びに最適。レゴと並んでドイツでは子どもに欠かせない玩具となっています。同展ではプレイモービルを使って、「中世の都市」「騎士、城、農民」「バロックの城と庭園」「19世紀の街並み」「近代の都市」「メルヘンと神話」の6つの世界を表現しました。
プレモビールで中世を再現
この展示は、歴史教師であるロバート・パッカイザーさんのコレクションによるもの。パッカイザーさんは4歳のときに初めてプレイモービルの人形「掃除婦」を買ったのを皮切りに、今では1万以上の人形を保有し、ドイツでも有数のプレイモービル収集家となりました。ハノーファー市内のギムナジウムで教鞭を取っているだけあり、歴史への造形が深いパッカイザーさん。立派な建物や美しい庭園だけでなく、農民一揆の様子やギロチン台のある広場など、歴史的事象を忠実に再現しています。建物の備品にも細心の注意が払われており、隅々まで作り込まれた世界に皆見入っていました。
開幕祭では、弓矢や輪投げなど昔からの遊びや、ニンジンを使ったリコーダー作りのほか、中世の服の試着など盛りだくさんのプログラムがありました。もちろんプレイモービルで遊ぶスペースもあり、子どもたちは1日楽しい時間を過ごしました。
昔の弓矢を試す子どもたち
2月までの会期中、子どもや大人も楽しめる催しが盛りだくさんに用意されています。パッカイザーさんによる展示解説が毎月あるほか、歴史家による講演会や朗読会もあります。特に注目を集めているのは10月21日のプレイモービルの交換会とバザーで、コレクターやファンがたくさん集まりそうです(要事前申し込み)。また、1月27日はパッカイザーさんと一緒に朝食を取りながら、子どもたちが自慢のプレイモービルを見せ合うという催しもあります(要事前申し込み)。
ハノーファーの地元紙によると、歴史博物館館長は「ミュージアムとおもちゃは相性ぴったり。どちらも人々に歴史を伝えるのに適している」とコメントしています。確かに歴史博物館には昔の家具や食器、馬車など実物があり、一方プレイモービルは昔の生活空間全体をコンパクトに表現できるので、互いに補完し合っています。 子どもたちの生き生きした表情を見ると、プレイモービルを使って遊びながら歴史や世の中についての理解を深めているのだなと感じました。
詳細は「Historisches Museum Hannover」で検索
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。