我が家には、小学校と幼稚園に通う7歳と3歳の娘がいます。どこの幼稚園でも同じだと思いますが、保護者会が定期的に開かれ、行事や日常の連絡事項が伝えられます。また、新しく通い始めた子供たちを中心に、親同士のコミュニケーションの場にもなっています。
さて、先日行われた娘の幼稚園の集まりでは、「子供警察-守護天使エージェント」という活動をしている元警察官のシュテファン・クラウスさんが、小さな子供たちが巻き込まれている犯罪の具体的な例と、実際に守る方法をお話しして下さいました。お子さんのいるご家庭には、有用な情報になると思いますので、ここでレポートします。
子供たちに人形を使いながら話すクラウスさん
親がその場におらず、事前に会う約束をしていない人に子供がついて行かないことは当然ですが、例えば見ず知らずの人が「お母さんが事故に遭って病院にいるから連れて行ってあげるよ」などとパニックになるようなことを話しかけた場合、子供にパスワードを覚えさせておくことが重要だそうです。そのパスワードを知らない人であれば、子供は絶対について行ってはいけません。犯罪に巻き込まれるのは6〜7歳の子が一番多く、力では大人に勝てず、口封じをされると何もいえなくなります。ドイツ国内の子供への性犯罪件数は毎年増え続けており、30分に1人が被害に遭っているといわれています。子供たちに異変があった場合、例えば描く絵に警察や不審人物が現れることが多くなるようです。そのようなシグナルを親や周囲の大人が気付いて適切に対応することが重要になります。
2017年の準備イベントの様子
犯罪者のほとんどは、路上で声をかけて子供を車に連れ込み、どこかの住戸に連れて行きます。鍵を閉めてしまうと中で何が起きようと、誰も手出しが出来ません。それを未然に防ぐためには、車だけが危険なのではなく、親切を装って運転席から声を掛けてくる人が危険な場合もあることを、子供たちに分からせることが大切です。さらに、通学路の途中にあるパン屋や商店などの店員や常連客と知り合いになっておいて助けを求められる場所を子供たちが知っておくことも大きな意味を持ちます。
クラウスさんは、グリム童話の中には現実の日常世界で子供たちが気を付けるべき示唆が多く含まれているといいます。ストーリーの裏側に隠されているシグナルを、親が子供たちと一緒に考えてぜひ話し合ってくださいと締めくくりました。クラウスさんは、幼稚園や図書館での講演のほかにもライプツィヒ郊外で警察ミュージアムを運営し、出版物も多くあります。
守護天使エージェント: kriminalpanoptikum.de
ドイツ建築家協会認定建築家。福岡県出身。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の設計事務所に所属し、10年から「ミンクス・アーキテクツ」主宰。11年より日独文化交流拠点ライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de