19世紀半ばに米国へ渡ったドイツ人によって設立されたピアノ製造会社、スタインウェイ・アンド・サンズ。同社はベヒシュタイン、ベーゼンドルファーと並んで、世界のピアノメーカーの御三家の1つに数えられています。ミュンヘン西部、ライム(Laim)駅のほど近くにあるスタインウェイ・ハウス・ミュンヘン(Steinway-Haus München)併設のコンサートホールには、同社製のピアノが備え付けられています。このホールの定員は95人。リーズナブルな値段で、ピアノ込みのレンタルが可能です。ここで昨年末、地元のムジークシューレ(音楽学校)の子どもたちによるコンサートが開催されました。
コンサートホールで披露された子どもたちのピアノ演奏
ランズベルガー通り(LandsbergerStraße)に面して建つスタインウェイ・ハウスは、ピアノの鍵盤をモチーフにした旗が目印です。店内には同社製のピアノが各種展示され、店員さんの説明を受けながら試すことができます。取扱商品はグランドピアノが主流のようですが、アップライト・タイプのものもありました。変わり種としては、赤や青に塗装されたグランドピアノが並んでいます。
建物の一角にあるこぢんまりとした部屋が、ここのコンサートホール。ステージには、スタインウェイのグランドピアノが柔らかな照明を受けて美しく輝いています。この日は主役の子どもたちの演奏のほか、ピアノやギター、縦笛、ツィター(ドイツ南部を中心に演奏される弦楽器。硬質な音が出ます)、ホルン、フルートの演奏が披露されました。縦笛と言えば小学生向けの楽器というイメージがあったのですが、ちゃんとした奏法をマスターすれば、演奏者によって全く違う音が出るのだということに驚かされました。子どもたちの演奏はかわいらしく、きちんとお辞儀をし、誇らしげに演奏に向かう姿は観客の笑顔を誘っていました。
さて、ムジークシューレとは自治体が運営する公立の音楽学校のことです(有料)。ドイツ各地に存在し、主に子ども向けの音楽レッスンを開講していますが、大人向けのプログラムを提供している学校もあります。初心者から上級者まで、先生は生徒のレベルに合わせて授業を行っています。ドイツでは学校の課外活動や部活動が日本ほど盛んではないため、音楽を習いたい子はムジークシューレへ、スポーツを学びたい子はスポーツ・クラブへ行くのが一般的です。
ムジークシューレの生徒たちの晴れ舞台
大人向けの講座と言えば市民大学(VHS)が有名ですが、楽器を習いたい方は、お住まいの地域のムジークシューレでお目当ての講座が開かれているか、一度探してみると良いかもしれません。
2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。会社員を経て独立し、現在はフリーランスとして活動中。家族は夫と2匹の猫で、最近の趣味はヨガとゴルフ、フルート。