観客のすぐ目の前で披露されるマジック。どこにトリックが潜んでいるのか、 仕掛けを見破ろうと目を凝らす客席の人々。でも、見破れない。ショーが終わるたびに、感嘆のため息と拍手がわき起こります――2月16日に、文化センター、ガスタイク(Gasteig)で行われた「ミュンヘン・マジック・フェスティバル(MunichMagicFestival)」では、そんな光景が繰り広げられていました。
数百年も前から存在し、時代と共に洗練されてきたマジックショーは、今なお人々を魅了し続けています。大規模な仕掛けが施されたドラマチックな舞台にハラハラドキドキするのが好きな人もいれば、巧妙な手先の動きが生み出す世界に惹き付けられる人もいます。普通に考えたらあり得ない「だまし」という不思議な世界を素直に楽しむことができるのが、マジックの醍醐味ではないでしょうか。また、トリックについてあれこれと憶測するのは、子どもにとっても大人にとっても、頭の体操になりますよね。
披露されるマジックを真剣な眼差しで見つめる子どもたち
今回のマジックショーでは、国際的な受賞経験者を含む高名な30人のマジシャンがそれぞれの技を披露しました。カード・マジックのショーは、至近距離で子どもたちがテーブルを取り囲み、マジシャンの手伝いもするという、実にオープンな状況で行われたのですが、私には、それでもさっぱりトリックが分かりません。マジシャンの手先の器用さに、ただただ感心するばかりでした。
会場の外でも古典的なマジックが披露されました
その他、マジックに関する講演やマジシャン学校(Zauber Akademie)など、自分でもチャレンジしてみたいという人向けの情報も紹介されました。マジシャン学校では、2年間掛けてマジックの基礎を学ぶという本格的なプログラムが提供されるとのこと。「パーティーで披露する手品」「カード・マジック」「子どもを魅了する方法」「道具の取り扱い方」などの技術と合わせて、「マジックをより楽しく披露するには」「ショーの要素をどう取り込むか」など、エンターテインメント性を高める方法が習得できるほか、さらに半年間の上級コースを履修して最終試験に合格すれば、「ドイツ・マジシャン・サークル(Magischen Zirkel von Deutschland)」の会員となり、一人前のマジシャンと認められるそうです。
そこまで本格的に学ばずとも、ちょっと趣味程度に習ってみたいという方や子ども向けには、ミュンヘンのVHS(市民大学)で開講されている短期間のコースが便利。ドイツ仕込みのマジックを身に付け、家族や友人をあっと驚かせてみませんか?
MunichMagicFestival:
www.zauberzentrale.de/events
Zauber Akademie:
http://zauberakademie-deutschland.de
2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。会社員を経て独立し、現在はフリーランスとして活動中。家族は夫と2匹の猫で、最近の趣味はヨガとゴルフ、フルート。