ミュンヘンを代表する大学の1つ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(Ludwig-Maximilians-Universität München、LMU)は、 人文・社会・理・医学系など18学部、学生数約5万2000人を擁する総合大学です。ドイツでは、大学間の質の格差は基本的に大きくありませんが、LMUはドイツ政府の大学研究支援プログラム「エクセレンス・イニシアティブ」の1つに選出され、その最先端の研究推進構想が高く評価されています。1月中旬、その名門大学LMUのオープンキャンパスに行ってきました。
何を、どう学ぶ? 情報を求める若者たち
この日は土曜日で、通常の授業はありません。入学希望者が主な対象ですが、誰でも入場が可能です。キャンパスのメインホールに各学部の学生がブースを作り、訪問者の質問に答えてくれます。講義室では、各学部がそれぞれ45分程のプレゼンテーションを行います。内容は学部ごとに異なりますが、カリキュラム構成に関する情報がメインです。それに加えて、パートナー大学の紹介、海外留学の可能性、卒業後のネットワークや成績優秀者に対するサポート、研究内容などが紹介されます。選考方法は学部ごとに異なり、例えば、応募者が定員の9倍を超える経営学部は成績重視、幅広い学問分野を包括する地球科学学部は志望動機のレポート提出が必須です。
地球について学ぼう―多様な可能性が示される
入学後は、国際性を重視し、英語で行われる授業が必修科目に組み込まれている場合もあります。また、学部によってはミュンヘン工科大学(Technische Universität München、TUM)と提携し、カリキュラムの一部をTUMが担当するなど、LMUとTUMのそれぞれの強みを生かしたプログラムも用意されています。このような大学間の連携に加え、産業界とのコンタクトも多岐にわたります。ミュンヘンには伝統的かつ革新的な企業が多く、これらの企業との共同研究などを通じて、学生は在学中に学習の成果を実践で試す機会を得ることができるのです。
カリキュラム終了後は学位が得られます。バチェラー(学士)取得後、希望者はマスター、ディプロマ、またはマギスター(修士)課程に進むというのが一般的です。ドイツでバチェラー制度が導入され始めてからまだ16年と日が浅く、総合大学ではマスター取得を念頭に置いたカリキュラム構成になっています。社会的にも、マスター取得者が求められているという背景があるようです。
日本と同じく少子化が進むドイツですが、LMUでは学生の子育て支援策もいろいろと考えられています。キャンパス付近には保育所や幼稚園があり、授乳室やプレイルームといったスペースの利用や、専門アドバイザーへの個別相談も可能です。大学と子育ての両立は簡単ではありませんが、ライフスタイルの選択肢が広がるのは喜ばしいことです。ほかにも、障害を持つ人や留学生のためのサポートなど、多様な学生を受け入れる用意があるというのは心強いですね。
www.jagd-fischerei-museum.de日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。