「Stuttgart21」は、シュトゥットガルト中央駅および周辺の大改造プロジェクトです。
街を訪れたことのある方はわかると思いますが、シュトゥットガルトはワイン畑に囲まれた盆地の真ん中にあります。この地形のおかげで、冬は暖かいですが、風がほとんどないせいで夏は暑く、大気汚染も深刻です。そのため、この問題を解決するために10年前、都市計画に気象学者が加わり、建築物があることで風の流れが阻害されないように、「風の道」が設計されました。これが「Stuttgart21」のもともとの発想です。この計画が本当に実現すれば、駅の建物が地下に潜り、線路も新しく整備され、パリやウルムなどへの走行時間が大幅に短縮されると見込まれています。シュトゥットガルトは地理的なメリットを有効に活用でき、西ヨーロッパの中心として輝けるわけです。
ベンツマークのくるくる回るシュトゥットガルト中央駅
「駅21」と名づけられた新しい駅のモデルなどが展示され
ている
しかし、計画では今年に竣工のはずですが、まだ大規模な工事に取り掛かっている様子がありません。反対に、街の到るところに「『Stuttgart21』、いいえ結構です」のポスターが目立ち始めました。私は知り合いから、このプロジェクト反対の署名を求められたこともあります。理由は、コストがかかりすぎる、リスクが多すぎる、工事現場の範囲が広すぎる、などです。昨年12月の時点で、反対者数はすでに6万7000人にも達し、反対派と賛成派の意見が平行線のまま、今に至っています。いかにもドイツらしい展開です。
余談ですが、駅構内のフォーラムでは、「Stuttgart21」の展示会を一日中、無料で見ることができます。さらにエレベータで頂上に上ると、街が一望できる展望台があって、ここはちょうど、あの大きなベンツマークの真下に位置します。短時間の滞在や乗換え時間の間でも、駅を出ずにちょっとした観光ができますよ。
「Stuttgart21」公式サイト: www.stuttgart21.de
「反対派」サイト: www.stuttgart21-nein-danke.de
HP: http://kakueinan.wordpress.com/