シュトゥットガルト国立造形美術大学では、毎年夏に総合展覧会を開いています。すべての学科のすべての学生が作品を展示します。今年は「Rundgang」展と称し、7月の下旬に開かれました。私自身はここの大学で研修していて、展覧会の出品側ではありますが、観客としても、普段は交流の少ない他の学科の学生の作品を観ることができ、十分に楽しめました。
同大学は学生数、約800人前後ですが、ドイツではもっとも大きい、そして歴史のある美術大学の1つとして有名です。1761年の創立以来、数多くのアーティストを世に送り出し、卒業生たちは美術、建築、デザイン、美術教育、美術修復などの分野で活躍しています。
技術レベルの高さに驚き
展覧会では、学生たちが教室やアトリエ、廊下にいろいろ工夫を凝らし、大学そのものを現代美術館に仕立てました。各クラスに番号が割り振られ、全アカデミーは約70の展示スペースに区切られました。作品の数は1000点以上。私は2日間連続で回ることにしました。特に面白かったのは自由アートの部門でした。伝統の絵画や彫刻の範ちゅうをはるかに超え、コラージュあり、実験アートあり、落書きあり、パフォーマンスもありで、学生たちのセンスの良さと発想の大胆さに常に驚き、次は何があるのだろうと終始わくわくでした。
ミシンでクッションの上に絵を描いたり、陶器で木の質感と色を完璧に再現したりと、初めて見たものばかり。しかも、ユーモアたっぷりでした。ビデオアートで、大都会の高級ホテルの部屋が芝生つきのキャンプサイドと化すストーリーを見せたり、スクリーンが特製ガラスでできたテレビに本物の人間が入り、見破れなかった観客をからかったりと、思わず笑い出してしまう愉快なシーンもたくさんありました。
部屋中、ファンタジーの世界
2019年に実現する予定の未来型オフィス
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