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毎年街全体でお祝い!シラーの誕生ウィーク

年末の風物詩ともいえるベートーヴェンの「第九」、父親が息子の頭上のリンゴを射るシーンが印象深いロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」などの歌の元になる詞を作った、フリードリヒ・フォン・シラー(1759-1805)。彼は、私が現在住んでいるシュトゥットガルトの北西部に位置する人口1万6000人ほどの小さな街、マールバッハ・アム・ネッカーで1759年に生まれました。「ローテンブルクを小さくしたような街」といわれるほど、小規模ながらも美しく伝統的な造りの家屋や古い街並みが残るマールバッハ。ワインの産地としても有名です。

シラーの誕生日である11月10日の前後、マールバッハでは「シラーウィーク」(Schillerwoche)として多くの式典やイベントが開催されるのが毎年恒例です。その最終日である「シラーサンデー」(Schillersonntag)には、各ミュージアムが無料で開放されるほか、普段は目にすることができない特別な展示や、幅広い年齢層に向けられたワークショップが開かれます。

毎朝の散歩であいさつするシラーの像毎朝の散歩であいさつするシラーの像

「シラーヘーエ」(Schillerhöhe)の名で市民に親しまれる広場周辺には、ドイツ文学資料館、シラー国立博物館、そして近代文学博物館という三つの大きな博物館があります。ドイツ文学資料館は、専門家が数週間泊まりがけで通うほど重要な資料が大量に保管されている「世界一大きいドイツ文学の書庫」といわれています。そのためシラーウィーク中、資料館の駐車場にはスイスやフランス、ドイツ各地からの車が停められ、普段見かけないようなエレガントな服装をしたマダムや、正装した学者風の人たちと多くすれ違いました。シラー国立博物館にある、彼の男前の肖像画がずらっと展示されたホールも一見の価値ありです。

子ども向けワークショップの様子子ども向けワークショップの様子

今回、私は斬新なデザインがひときわ目立つ近代文学博物館を訪れました。いくつかの催しの中から、有名な作詞家と童謡を歌うワークショップに参加することに。まずは作詞家の方が、なじみのある曲の歌詞を例に挙げ、韻を踏んだ箇所や、音運びについて解説してくれます。その後、彼のギター伴奏で一緒に歌ってみるのですが、どの曲も観客の中の数人が途中から副旋律を歌ってハモり始め(すごい!)、会場は歌と笑いで大盛り上がり。誰もが一流のコーラス団で歌っているかのような気持ちになれる、とても印象深いワークショップでした。また、楽譜が読めなくてもアプリを使って一緒に合奏できる子ども向けのワークショップも。タブレット画面の文字や手の図をタップして音を出し、参加者と一つの曲を演奏する体験をしました。

ゲーテと並ぶドイツの偉大な詩人であるシラー。その業績や歴史を身近に感じ、そして楽しく体験できる素晴らしい催しに大満足でした。

グリュッツマン 貴子( たかこ )
おんせん県出身。ドイツ人の夫と、二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。趣味は、( こうじ ) を醸して発酵調味料を手作りすること。世界各地に住む日本人の醸し人仲間たちと共に、糀の可能性を研究する「伝統食クリエイター」としても活動。台所はいつも実験室のようになっている。

 
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