ジャパンダイジェスト

写真の夏フェスティバル2007

シュトゥットガルトはいま、写真の街と化しています。10月まで開催中の「写真の夏フェスティバル 2007」(FOTOSOMMER STUTTGART 2007)で、ドイツの今をテーマにした写真作品を市内およびその周辺50カ所あまりのアートギャラリーや美術館で展示しています。

さっそく、メイン会場である州のアート協会(Württembergischer Kunstverein)を見学してきました。661人の応募者からノミネートされた31人の写真アーティストの作品が展示され、さらにそのうち3作品が優秀賞に選ばれました。

ここで、1枚の写真が目を惹きました。真っ暗な夜に草食動物の群れ。動物の目は宝石のように緑の光を放ち、つやつやした毛皮も写されていました。撮影者はその動物たちにかなり接近しているけれど、動物たちは怖がる様子もなく、カメラをじっと見つめています。

写真の夏フェスティバル2007
作品の前に思わず立ち止まります

同じシリーズ中の数枚も、暗闇にいる動物をモチーフにした作品です。いずれもリアルでありながらどこか不思議さが感じられます。タイトルは「Summa」、作家の名はArno Schidlowskiです。今回の大賞で第3位を獲得した作品です。ちなみに1位に輝いた作品はKnut Wolfgang Maronのシリーズ「一つの人生」(Ein Leben)。被写体は彼自身の母親で、82年という長い人生の最後の1週間を記録したドキュメンタリーです。死を迎える人間を取り囲む空気の重みが印象的な作品でした。

写真技術のデジタル化によって、写真そのものに対する価値観が急劇に変化しています。写真はもはや従来の記録するだけのメディアではなくなってきています。90年代に入って、現代ドイツの写真は世界的に注目されるようになりました。巨大なパノラマを完璧な技術で表現するアンドレアス・グルスキーや、日常の中の繊細な美を撮り続けるヴォルフガング・ティルマンスは日本でも有名なドイツ人写真家です。そしていま、こういった巨匠らの次の世代が織り成す写真文化が熱く期待されています。ドイツで生まれたてのユニークな写真アートを、ご自分の目で鑑賞してみてはいかがですか。

www.fotosommer-stuttgart.de

このマークが会場の目印です
このマークが会場の目印です

郭さん郭映南(かくえいなん) 中国生まれの日本国籍、ドイツ在住。人生の1/3以上は海外。ケルン→マールブルク→シュツットガルト、拠点を転々としながら、ドイツ語とダンスと写真を学ぶ。現在、Stuttgart造形美術大学で視覚デザインの研究生。
HP: http://kakueinan.wordpress.com/
 
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