毎年、この季節になると桜が恋しくなります。ドイツでは桜の木が少なく、お花見の習慣もありません。しかし、今年ついにシュトゥットガルト近郊でお花見の穴場を発見しました。
そのお花見スポットは、オーヴェン(Owen)という町にあります。シュトゥットガルト中央駅からS バーンの1番に乗り、終点のキルヒハイム・テック(Kirchheim Teck)で下車、そこでバスに乗り換えて走ること15分でオーヴェンに到着です。シュトゥットガルトの人々には、テック城砦がある場所としてよく知られています。
満開の桜の木、きれい!
町の中心から、その城砦に向かってまず山を登りました。天気が良く、太陽がまぶしい遠足日和。山は木々のみずみずしい新緑に覆われていました。城砦は標高773メートルのところにありますが、散歩感覚で歩いていくと、あっという間に到着します。展望台からの眺めは実に見事で、視界を妨げるものは何もなく、辺りを一望することができます。眼下には小さな町々が点在し、果樹園の花が咲き乱れていました。
城砦の歴史は、1152年に皇帝フリードリヒ・バルバロッサ(赤ひげ王)とツェーリンゲン公コンラートとの間で交わされた条約にまで遡ることができます。長い間、王族や貴族が所有していましたが、それから100年ほど廃墟のまま放置され、後に再建されました。城砦の目玉は、31メートルの高さを誇る塔。中庭にはレストランと軽食屋が1軒ずつあり、ワインや郷土料理が手頃な値段で楽しめます。またこの一帯は、1999年11月にテック自然保護区として登録されました。
お花見ポイントは、この城砦の北西側にあります。ここに植えられているのは、主にさくらんぼの実る桜の木で、白い花を咲かせています。その桜の花が一面に咲き誇る光景は、日本人にとってはどことなくノスタルジックな感じがします。ここは私有地ですが、フェンスや仕切りはほとんどなく、通常は自由に行き来できるようになっています。辺りには芝生も広がっていて、シートを敷いて、ごろごろしながらのんびりとお花を楽しめます。
また、ここはシュヴェービッシェ・アルプ(Schwäbische Alb)、つまりシュヴァーベン地方のアルプスと呼ばれる高原地帯で、近くにハイキングコースがたくさんあることでも有名です。付近には、テック城砦よりもさらに長い歴史を持つホーエンノイフェン(Hohenneuffen)要塞もあります。この地方は、寒暖差の激しい時季に、明け方から早朝にかけて霧が発生することが多く、雲海に浮かぶ城砦の幻想的な姿が見られることもあります。シュトゥットガルトから日帰りで行くことができますので、家族連れのドライブにもお勧めのスポットです。
ホーエンノイフェン要塞からの展望