コロナ禍の日常生活への規制が緩和されたのに合わせて、ベルリンの文化生活に新しい試みが導入されました。Museumssonntag(ミュージアム・サンデー)と題して、毎月第1日曜日にベルリンの美術館、博物館を入場無料にするという試みです。
参加しているのは、アート、デザイン、歴史、宗教、日常生活、科学技術、ベルリンの地域史などをテーマにした公営と私営の約60ものミュージアム。ホームページから時間を指定して見学の申し込みができます(中には事前予約なしで入れる施設も)。どの時間帯もすでに予約で埋まっているミュージアムもありましたが、私は三つの予約を取って、7月4日の第1回目に参加してみました。
親しみやすい雰囲気のミュージアム・サンデーのポスター
最初に訪れたのは、ニコライ教会博物館。ベルリン最古の建造物であるニコライ教会は、ベルリン初期の歴史をテーマにした博物館になっています。日曜の午前中は人もまだ少なく、久々に教会の内部空間に身を置いて気持ちが引き締まりました。
今度はウンター・デン・リンデンにある現代美術館「パレ・ポプレア」(Palais Populaire)へ。ドイツ銀行が運営するこの美術館では、抽象画のコレクションのほか、現在開催中のビジュアルアーティスト、マルク・ブランデンブルク(1965-)の特別展を鑑賞し、写真のネガ効果を取り入れた不思議な世界を体験しました。
ミッテ地区にあるフリードリヒス・ヴェルダー教会
続いてそこから近いフリードリヒス・ヴェルダー教会へ。19世紀の著名な建築家シンケルが設計したベルリン最初のネオ・ゴシック様式の教会ですが、周辺の新築工事により構造的な損傷が見つかったため、2012年から長期の改修工事が行われていました。昨年の再オープン後は旧ナショナルギャラリーの彫刻作品の展示会場として使われています。赤みがかった色合いの天井と祭壇のステンドグラスが地面の石に反射し、美しい効果を生み出していました。
半年以上ぶりにミュージアムを訪れ、日常生活の中に新鮮な空気が入ってくるのを感じ、刺激になりました。ベルリン市文化相のクラウス・レーデラー氏は、「ミュージアム・サンデーを街の人々が文化財産に幅広く触れる機会にしたい」とその意図を語ります。特に博物館や美術館に日頃あまり足を運ぶ機会のない家族連れや若者にアピールするため、特別なプログラムやワークショップも予定されているとのこと。文化生活の再開に合わせてこういう機会が設けられるのは、やはりうれしいことで、来月の第一日曜がまた楽しみになってきました。
ミュージアム・サンデー
www.museumssonntag.berlin