日本国外に住む者にとって、なかなか自分に合うものが見つからず困りがちなものの一つが眼鏡、そしてサングラスです。筆者も眼鏡を着用しているのですが、ドイツで販売されている眼鏡の多くは欧州の人向けにデザインされているので、単にデザインが似合う・似合わないという問題だけではなく、装着感やサイズの問題を抱えることが少なくありません。
驚くほど軽く作られたサングラス
こうした不満を持っていたのは、私たち日本人だけではなかったようです。2020年、あるアイウェアメーカーがベルリンでスタートしました。その名は「REFRAMED」(リフレームド)。プロダクトデザイナーのAckeemNgwenyaさんと、マーケティング担当のShariff Vreugdさんの二人が立ち上げたブランドです。Ackeemさんはマラウイ共和国の出身。Shariffさんはスリナム共和国にルーツを持つオランダ人です。彼らも、自分たちの顔や鼻に合う眼鏡がなく、デザインの選択肢が少ないことに常日頃から不満を持っていました。さらに言えば、人種に関係なく、同じ顔の形、鼻の形をした人は、この世に二人といません。
存在感のあるデザイン
そこで彼らは、顔の形状を3Dで測定し、目の間隔や鼻の形状をデータ化するソフトウェアを開発。そのデータをもとに、一人ひとりの顔に合ったアイウェアを3Dプリンターで製作する、という方法を確立しました。これによって、従来のようなメガネフレームの大量生産システムから脱却し、注文を受けてから一つひとつ製作することが可能になりました。環境への負荷を低減しつつ、無駄な在庫を持たないことで、カスタムメイドの眼鏡としてはかつてないほどの低価格で提供できるようになったのです。
今回、彼らのオフィスにおじゃまして、サンプル品を撮影させてもらいました。フレームはナイロン製で、衝撃や汗、紫外線にも強いほか、手に取ると驚くほど軽いです。現在はサングラスのみオーダー可能で、基本のデザインは11種類、かつフレーム本体の色が4種類から選択できるので、現時点でも相当な数の選択肢が用意されています。
快く取材に応じてくれたAckeemさん(右)とShariffさん(左)
「私たちのコンセプトは人々の共感を得ることができ、クラウドファンディングでも多くの金額が集まりました。来年以降はサングラスだけでなく、度入りのメガネも提供できるようになる予定です。皆さんが自分の顔に合ったアイウェアを身に着けられるよう、これからもベストを尽くします」とAckeemさんは語ってくれました。人種のるつぼ、ベルリンで生まれたアイウェアブランドの「REFRAMED」。彼らの「全ての人に、もっと自分に合ったアイウェアを」というシンプルかつ強い願いは、きっと世界中の人々のもとに届いていくことでしょう。
REFRAMED:www.reframd.com