8月23、24日の週末、毎夏恒例となっている連邦政府の各省庁の一般公開が行われました。ベルリンにある13すべての省庁が開放されるこの催しも今年で10回目を数えるそうです。建物の内部を見学できるだけでなく、体験型のプログラムが多数用意されたり、閣僚も顔を出して市民と直接対話をしたりするところに、政府のオープンさを感じます。中でも毎年1番人気の首相府では、日曜日の午後にメルケル首相が直々に中を案内してくれるとあって、雨天にも関わらず多くの市民が詰め掛けたそうです。
私が見て回った中で、1番見応えがあった外務省をご紹介したいと思います。セキュリティーチェックを受けて中に入ると、そこはいきなりガラス張りのモダンなホール。突き抜けて中庭に出ると、要人をエスコートする際に使われる警察の車やオートバイが止まっており、現場の任務にあたる人から直接話を聞くことができました。ちなみに、国家元首の公式訪問の際には15台ものバイクが前後につくのだとか。向かいにそびえる旧館はナチス時代の建築物で、かつて帝国銀行の金庫だったという地下室の扉は恐ろしいくらいに分厚く、現在は24時間体制の危機対応センターになっています。
国際会議の様子を再現した円卓
地上に戻って階段を上がると、そこは「世界ホール」と呼ばれる大きなホールで、国際会議などがここで行われます。公式晩餐会の様子が再現されていたり、潘国連事務総長がドイツを訪問した際のプログラムや同時通訳者の速記メモまで展示されていたりと、国際政治の舞台裏を垣間見た思いでした。
さらに上の階では、社会主義統一党(SED)の本部がここにあった旧東ドイツ時代、最高指導者のホーネッカーが辞意を表明した「ビスマルクホール」から、現在のシュタインマイヤー外相の仕事部屋まで見学することができました。外相の部屋は意外にも簡素かつ機能的で、テレビでしか見たことのないドイツの外務大臣が普段はここで仕事をしているのかと思うと、政治の世界に急に親しみが沸いてきました。
要人をエスコートする車
これがシュタインマイヤー外相の仕事机