はじめまして。今号からベルリンのレポーターとして記事を書かせていただくことになりました、佐藤駿といいます。大学への進学を夢見てベルリンへ移住した、サッカーとビールをこよなく愛すアラサーです。
自然に還るアトラクション
さて、ベルリンの魅力の一つといえば、都市と自然の調和ではないでしょうか。ドイツの首都でありながら広大な緑地面積を有しており、都内で森林浴を楽しむことができる、田舎育ちの私にとってはうってつけの場所です。そのなかでも都心から比較的アクセスしやすい森、プレンターヴァルトにひっそりと身を潜めている元遊園地がシュプレーパークです。ここが今、新しく生まれ変わろうとしています。
シュプレーパークの未来像が展示されています
シュプレーパークは、1969年に「カルチャーパーク・プレンターヴァルト」という名で東ベルリンにオープンしてから市民の憩いの場として親しまれていました。ベルリンの壁崩壊後に個人オーナーへと売却され、1992年にシュプレーパークの名でベルリンの新たな名所として再出発しました。ところが開園当初の人気はそう長く続かず、来場者は年々減少し、2001年に経営困難により閉園を余儀なくされることに。それ以来、かつて栄えたテーマパークは廃墟という別の顔をもって、今もなお森の奥にたたずんでいます。
そこから時は流れ、廃虚となったシュプレーパークを「芸術、文化、自然」をコンセプトとするテーマパークに生まれ変わらせる計画が進んでいます。2016年にGrün Berlin GmbHが再生事業を担当することが決まり、2020年から改修工事を開始。そして2026年に芸術が集い、文化が混じり合う、自然との共存を目的とした新しい形のテーマパークが誕生します。
改修工事が終わったエッグハウス
2023年の夏までは場内ツアーが行われていましたが、残念ながら改修工事の影響で同年11月からツアーはお休みに入りました。現状はまだ新しい情報はありませんが、改修工事の見学等は検討中とのことですので、気になる方はシュプレーパークのウェブサイトにて最新情報をチェックしてみてください。場内の一部はすでに改修工事が済んでおり、夏季は川辺でビアガーデンを楽しむことができます。ひときわ美しく佇むエッグハウス(名前の由来は諸説あり)はイベントや展示施設として開放され、ベルリン出身の芸術家だけでなく、世界各国の芸術を身近に感じられる場所として提供される予定です。
前述した通り、このテーマパークは森の一角に位置しており、シュプレーという大きな河川に面しています。また、付近にはトレプトアーパークという大きな公園もあるため、特に夏場は多くの人でにぎわいます。まさに都会のオアシスと呼ぶにふさわしい場所です。持続可能な生き方が見直されている昨今、新たな生き方や自然の関わり方の提案をするシュプレーパークに、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。夏場にお越しの方は、帽子とラドラーは欠かせません!