ベルリンのダーレム地区にある植物園(Botanischer Garten)の大温室(Großes Tropenhaus)が、約3年に及ぶ改修工事を終え、9月末に再オープンしました。その最初の週末にはお祭りが開催されていたので、この機会にと初めて足を運んできました。
ベルリンの植物園の歴史は、1679年にさかのぼります。もともとはシェーネベルクのポツダム通りにありましたが(現在のクライスト公園)、次第に土地が足りなくなり、プロイセン王室所有のこの地に移されることになったのです。1910年にオープンした同植物園の43ヘクタールの敷地内には現在、約2万2000種もの植物が生息しており、これはロンドンのキューガーデンとセントルイスのミズーリ植物園に次いで、世界で3番目の規模だそうです。庭園内には、充実した博物館も併設されています。
天井まですっきり見渡せる温室内部の様子
普段は入場料5ユーロのところが、この週末は1ユーロということで、大勢の人々が訪れていました。隣接する通りウンター・デア・アイヒェン側から中に入り、エキゾチックな草花を眺めながらなだらかな丘を上ると、ガラス張りの大温室が見えてきます。プロイセン王室の建築家アルフレート・ケルナーによって設計され、1907年に完成したこの温室。中に入ると、その大きさに圧倒されました。縦60メートル、横29メートル、高さは26.5メートルもあり、この中に生息する植物は実に4000種類。大きな特徴として挙げられるのは、3つのジョイントから成るアーチ構造によって、支えの柱に遮られることなく全体をすっきりと見渡せること、そしてアジア、アフリカ、南アメリカというように、植物が大陸別に分類されていることです。
今回の修復では腐食が進んだ鉄骨の組み替えとともにガラスもすべて張り替えられ、また環境に配慮してエネルギー消費量をこれまでの半分に抑える工夫も施されました。内部には人工の洞窟や噴水もあるので、子ども連れでも楽しめる造りになっています。温室の前後に1つずつ巨大な熱帯林を模した物体が立っていますが、これは換気塔の役割を果たしており、昼間は冷たい空気を、夜は暖かい空気を送って、内部の温度を調節しているそうです。
温室を出た後、次は園内を散歩したのですが、とにかく広い! 丘や森、池など多彩な風景が広がっていて飽きることがなく、世界中の植物に出会えるのですから、大げさでなく世界を旅している気分にもなれました。また、園内の中ほどには日本の樹木を植えた一角があり、イチョウやカツラの木が美しく茂っているのを見て、嬉しくなりました。
www.botanischer-garten-berlin.de
お祭りの日は大温室の正面には屋台が立ち並び、
家族連れなどで賑わった