ジャパンダイジェスト

シェーネベルクのカフェ「ダブル・アイ」

第2次世界大戦中にベルリンに住んでいた人の回想録を読むと、コーヒーにまつわる話がよく出てくることに気付きます。当時、コーヒー豆がいかに貴重だったか、そして人々がそれを手に入れるためにどう工面したか等々。例えば『ベルリン戦争』(邦正美著)という本には、コーヒー豆でガソリンが買えたという驚きの事実が記されています。そんな時代は遠い過去となりましたが、ベルリーナーとコーヒーにまつわる話を読むと、1杯のコーヒーがより味わい深く感じられるから不思議です。

前置きが長くなりましたが、今回はそんなベルリンでとびきりのコーヒーを飲ませるお店をご紹介しましょう。

芸術的なまでに美しいカプチーノの泡立ち
芸術的なまでに美しいカプチーノの泡立ち

シェーネベルクのアカーツィエン通りは、カフェやレストランがとりわけ密集する通り。地下鉄U7のアイゼナッハー・シュトラーセ駅(Eisenacher Str.)で降り、なだらかな坂を上って行くと、やがて右手にそのお店は見えてきます。2つの目をイメージした大きな看板が目印のカフェは、名前もそのまま「ダブル・アイ」。しばしば行列ができているので、すぐにそれとわかると思います。

小さな店内は人でいっぱい。ようやく順番が回ってカプチーノを注文すると、バリスタが立派なコーヒーマシンで煎れてくれます。何より目を見張ったのが、きめ細やかな泡の上に彩られたハート型模様の美しさ。これはもう芸術品といっても過言ではないほどです。

気になるお味ですが、「これほどまろやかでコクがあるカプチーノは初めて」と言いたくなるぐらいの美味しさ。エスプレッソの苦みはしっかり効いているのですが、のど越しがよく、まさにコーヒーを飲むことの至福を堪能できました。

それも驚くことなかれ。「ダブル・アイ」のオーナー、アルノ・シュマイルさんは、数年前にバリスタ世界選手権でチャンピオンに輝いたこともある名手なのです。エスプレッソ77セント、カプチーノ1.79ユーロ、ラテマキアート2ユーロという割安感も魅力で、このコスト&パフォーマンスにもこだわりを感じました。

店内はとても小さく、ゆっくりくつろげるタイプのカフェではありません。頼んだものをテイクアウトして足早に去って行く人の姿もよく見られます。それだけに、「本当に美味しいコーヒーを求めて、みんなが集まってきている」と思わせてくれるカフェなのです。

Double Eye
Akazienstraße 22,
10823 Berlin
月~金 09:31~18:29、
土 10:05~15:29

大きな2つの目が目印の「ダブル・アイ」外観
大きな2つの目が目印の「ダブル・アイ」外観

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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