ジャパンダイジェスト

大型複合商業施設がアルベルト広場前にオープン

ドレスデン市内のノイシュタット駅とアルベルト広場の間は、長いこと、雑草が生い茂った使用目的が不明な広大な空き地と、それに隣接した空き家の高層ビルが放置されたままになっていました。

この高層ビルは11階建てのオフィスビルで、1920年代の建築にしては画期的、かつ、ドレスデンで最初の高層事務所建築でした。当初はドレスデン州銀行として、後にドレスデン交通局の本社として使用されましたが、1996年からは空き家の状態でした。

1945年のドレスデン爆撃の際も、頑丈な構造ゆえ大きな被害も受けず、戦前の近代建築の貴重な例といえます。しかし、貴重な建築物とはいえ空き家。取り壊されなかったのは奇跡です。ホテルへの改装話などが何度も持ち上がっては消え、市民の同情を集めていましたが、この高層ビルに転機が訪れました。

それは、広大な空き地とこの高層ビルを一体化した開発事業がスタートするというもので、空き地には大型スーパーをメインとした複合商業施設、高層ビルは改装工事が施され、オフィスビルに生まれ変わります。改装工事は現在もまだ続行中ですが、先月2日には大型スーパーEdeka系のSimmelや、ドラッグストアなどが先立ってオープンしました。

複合施設と高層オフィスビル
新たに建てられた複合施設(手前)とドレスデン初の高層オフィスビル(改装中)

ノイシュタットの中心部で初となる大型スーパーの出現。気になるのはその品揃えですが、肉や魚、チーズ、ハムおよびデリカテッセンのショーケースがお目見えし、専門食材の充実ぶりが目立ちます。特に鮮魚コーナーの出現は、日本人には嬉しいニュースです。

ニシアンコウ
鮮魚コーナーの巨大なニシアンコウはオープン日の目玉商品

時間短縮のための清算システムは、最も力を入れたところとみえ、会計コーナーで店員がバーコードをスキャンしたら、客は自動精算機で支払いをするという仕組みです。さらに、ドイツでは初の導入という清算システム、ハンドスキャナー(会員制)は、機械を入り口で受け取り、店内を回りながら商品をカゴに入れるときにピッと自分でスキャンします。会計コーナーではこのハンドスキャナーを店員に渡すだけで、即時に合計額が提示されます。希望すれば、スキャナーを受け取る際に提示するカードを忘れても、手のひら静脈認証で本人確認ができるとのこと。

スマートフォンも同様ですが、便利なサービスは個人情報やプライバシーの提供と引き換えとなるため、自分なりに線引きをする必要があると感じました。どの程度の時間短縮が期待できるのかは未知ですが、配達時間の事前お知らせメールなど、各種配達サービスの向上が著しいドイツ。日本人には大ざっぱ過ぎると思われていたドイツ人の時間に対する概念は、変わりつつあるのかもしれません。次はオフィスの完成が楽しみです。

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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