フランクフルトのマイン川沿いにあるシュテーデル美術館では、2月16日まで「メイキング・ファン・ゴッホ ドイツの愛の物語」という特別展が開催されています。開始から9週間ですでに20万人を超える来場者を数え、平日にも行列ができるほどの大盛況ぶり。私が訪れた日も、朝一番に到着したにもかかわらずチケットブースには長蛇の列ができており、その人気の高さがうかがえました。
特別展の顔ともなった、ゴッホの肖像画
2015年に開催された「モネ展」でも、連日途切れることのない来場者が印象的でしたが、今回はそれに勝る来場者数が見込まれているそう。こうした人気の高い特別展では、事前にネットで時間指定チケットを購入すると便利です。夜間割引やガイドツアー付きのセットチケットなどもあり、日付と時間を指定して購入すると電子チケットがメールで送られてきます。電子チケットがあれば、チケット売り場で並ぶことなくスムーズに入館できるので、お目当ての展示がある場合には事前予約がおすすめです。
特別展ではゴッホの生涯や作品はもちろんのこと、ゴッホの作品がドイツでどのように紹介され、受け入れられ、広まっていったのかをセクションに分けて展示していました。まずはゴッホ自身の人生について、作品とともにたどっていきます。ゴッホの素晴らしさを改めて目の当たりにするとともに、その変遷を時間軸に沿っておさらいすることができました。そこからさらに、ゴッホの死後、それらの作品がどのように扱われたかを丁寧に追っていく展示となっていました。
ドイツの美術館で最初にゴッホの作品を購入したのがシュテーデル美術館だということで、当時の記録などと一緒にドイツでのゴッホ作品の評価や、その普及に尽力した人々に焦点を当てています。画家自身の人生や作品だけではなく、それが芸術界やアート市場にどのような影響を与えたのか、どのようにしてゴッホを有名にしていったかの過程を詳細に知ることができました。ゴッホがこれほど世の中に受け入れられるまでに、美術評論家やコレクター、美術館がどのような役割を担っていたかが分かり、とても興味深かったです。
ほかにもゴッホの贋作(がんさく)や、ゴッホに感銘を受けた画家たちの作品を展示するスペースもあり、それらと比較することで一層ゴッホの才能が輝いて見えます。同時に、ゴッホの画風を取り入れた画家たちの作品を通して、その影響力の強さを実感しました。
常設展も魅力的なシュテーデル美術館
今年は、創始者であるシュテーデル氏のコレクション展や、彫刻における印象派展、18世紀のオランダ絵画展、レンブラント展など、続々と注目度の高い特別展が予定されています。また常設展でも、フェルメールやボッティチェリ、レンブラントなどの素晴らしいコレクションを楽しめるので、ぜひ特別展と合わせて鑑賞してみてください。
シュテーデル美術館:www.staedelmuseum.de
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。