ジャパンダイジェスト

小さなクリスマスマーケット

暗く厳しいドイツの冬に、街の雰囲気も人の心も明るくしてくれるのがクリスマス。毎年この季節に開催されるクリスマスマーケットは、オーナメントやお菓子、伝統工芸品を売る木造の屋台が軒を連ね、クリスマスムードを盛り上げます。交通アクセスの良いフランクフルトには毎年国外からも多くの観光客が訪れ、たくさんの人で賑わいますが、そんな定番のクリスマスマーケットとは一味違う小規模なクリスマスマーケットもあります。それが、アドヴェント(待降節)の週末ごとに市内各地で開催される地元民のためのマーケット。今回は、第1アドヴェントの週末に私が訪れた2つのクリスマスマーケットをご紹介します。

ユールボック
スウェーデンで、ツリーの前に飾るヤギの藁人形「ユールボック」

まず1つめは、ドルンブッシュ教会(Dornbuschkirche)のマーケット。日本人も多いドルンブッシュ地区ですが、このマーケットのテーマはフィンランドのクリスマスです。あちこちでフィンランド語が飛び交う中、日本でもお馴染みのマリメッコやイッタラなどのブランド商品、ムーミンのクリスマスグッズが並び、飲食屋台では鮭まるごと1匹を開いて豪快に燻した自家製スモークサーモンや、スパイスのほかにアーモンドとレーズンが入った「Glögi」と呼ばれるフィンランド式ホットワインが販売されていました。また、プルーンジャムの入った風車型のパイは、同国のクリスマスには欠かせない伝統菓子だそう。ドイツにいながらにして、本場北欧のクリスマス気分を味わえるスポットです。

続いては同じ北欧繋がりで、プロインゲスハイム(Preungesheim)地区にあるスウェーデン教会(SchwedischeKirche)のマーケット。ここでは、スウェーデンの民族衣装に身を包んだ人たちが手作りのお菓子やオーナメントを販売しています。会場のあちこちに、藁で作られたトナカイのようなオブジェを見かけました。これは「ユールボック」と呼ばれるヤギの藁人形で、ツリーの前に飾るのがスウェーデン流。この国では、トナカイの代わりにヤギがプレゼントを配る手伝いをするそうです。すぐ隣の建物ではクリスマスバザーが開かれ、地元でアトリエを構えるアーティストによる手作りのクリスマスカードや、料理上手な人々の自家製シュトレン、クッキーなどが売られていました。

ヨウルトルットゥ
フィンランドのクリスマスパイ、プルーンジャム入りの「ヨウルトルットゥ」

このように様々なマーケットを楽しむことができるのも、国際色豊かなフランクフルトならでは。クリスマスまでの4週間、独創的なマーケットからアットホームなバザーまで、バラエティーに富んだイベントがあちこちの教会や公民館で開かれています。ぜひ一度、心温まる小さなマーケットに足を運んでみては?

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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