去る7月2日、本誌1029号でご紹介したフランクフルト唯一の日本人サッカークラブFCFJの主催による、欧州日本人サッカーチームの王者を決める大会「ユーロJ」が開かれました。2003年より年1回、欧州各地から日本人サッカーチームが集結し、それぞれ持ち回りで開催されるユーロJ。シュトゥットガルト、ミラノ、バルセロナと続き、今回は地元フランクフルトでの開催となりました。
欧州日本人クラブチームのチャンピオンをかけた戦い。今年の優勝は、デュッセルドルフのレッズ
FCFJからは、中学生以上の青年チームFCFJ-A、FCFJ-Bと、40歳以上の四十雀(しじゅうから)の計3チームが出場しました。FCFJ-Aは本大会3連覇中で、地元開催で4連覇をかけた大事な大会です。また四十雀は初出場で満足のいく結果が残せなかった4年前の雪辱を果たすべく、この4年間毎年挑戦を重ねた集大成を発揮する晴れ舞台。いまだ公式戦では1勝もできていないことから、まずは1勝を狙います。
この大会には、ミュンヘンやマインツなどドイツ国内はもちろん、モスクワ、プラハ、ミラノ、オランダ、ロンドン、パリ、トルコなど計9カ国17チームが参加しています。これほど多くの日本人が欧州でサッカーをしているのかと、驚いてしまいました。各国から参加した選手に話を伺うと、どのチームも「ユーロJは目標となる大会」「他国の日本人チームと交流できる1日」と本大会を楽しんでいる様子。「サッカー好きの集まるパーティー」「とにかく楽しんで勝つ!」「目標は優勝」と、楽しい中にも勝負にかける意気込みを感じました。
各チームともFCFJ同様に和気あいあいとした雰囲気で、話を伺うだけでも楽しさが伝わってきます。ユーロJを通してチーム同士の交流が生まれたり、チームメンバーや家族と一緒に開催都市を訪れたりするのも楽しみだそうで、1日限りのサッカー大会にとどまらず、サッカーを通した人の輪の広がりを感じました。
試合の方は、第1シードのFCFJ-Aが惜しくもマインツに敗れ、4連覇ならず。「悔しいの一言です」とキャプテンの寺さん。一方、FCFJ-Bと四十雀の兄弟チーム対決となった午後のトーナメント。四十雀がみんなでパスをつなぎにつなぎ、最古参メンバーの成瀬さんがゴールを決めました。先制の1点を守り抜いた四十雀が、念願の公式戦初勝利。この4年間、良い試合をしながらも点が取れず結果を残せなかった四十雀が、ようやく念願の1勝を挙げました。「本帰国で日本に帰ったメンバーにも、今日の勝利を伝えたい」「40歳を過ぎて、こんなに良い仲間に巡り合えて幸せです」と充実した表情で語ってくれました。
公式戦初勝利をあげた四十雀のメンバー
時折雨の降りしきる悪天候にもかかわらず、みんなが楽しく全力で戦う姿に、応援にも力が入りました。年に一度の勝利を目指した熱い戦いと、サッカーを通じた各国チームの交流で、参加者も観客も楽しめる素晴らしい大会でした。
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。