ジャパンダイジェスト

コミュニケーション博物館 郵便馬車からゲームまで

フランクフルトの通称・博物館通り(シャウマインカイ通り)に、郵便や電話など、通信伝達に関する歴史や仕組みを学べる「コミュニケーション博物館」があります。ガラス張りの明るくモダンな建物には、地下に常設展、1階にカフェ、2階にアトリエが入っています。

常設展で目を引くのは、郵便配達用の馬車やバスなどの乗り物です。ドイツの郵便局の象徴色である黄色に塗られた郵便馬車は、今にも動き出しそうなほど保存状態が良く、レトロな車体に心惹かれます。「乗ってみたい?」乗り物の展示を見ていると、博物館の係員がそう言いながら、郵便バスの鍵を開けて中を案内してくれました。20世紀初めのものとは思えないほど綺麗な郵便バスは、椅子の装飾や灰皿のエンブレムもおしゃれです。座席の上の紐を引っ張ってみるとベルの音がしました。これで降りる駅を運転手に知らせたそうです。当時は右ハンドルだったのも意外な発見でした。こうした展示物に実際に触れながら見ることで、さらに理解と興味が深まりました。

郵便馬車
レトロな車体で、色も形も可愛い郵便馬車

2階のアトリエでは、真空圧を利用して管に入れたメッセージをやり取りしたり、版画を作ったり、手紙の集配などの郵便業務を体験したりすることができます。私もここで娘の誕生会を開いたことがありますが、様々なアクティビティーができるので、子供たちはみんな大喜びでした。

また3月5日までは「no pain no game」と題した特別展が開催されています。今や誰もが遊んだことのあるコンピューターゲーム。プレイヤー自身は安全な状態で、ゲームの中だけで戦ったり冒険したりするので、ゲームで負けても現実世界では何の不利益もありません。しかし、この展示ではそのようなコンピューターゲームを、現実にも相互作用し得る媒体として提示しています。例えば「ペインステーション」では左手をパネルに置いてピンポンゲームをプレイし、負けると電流が流れたり鞭でしっぺを受けたり、軽い罰ゲームが用意されています。普段は気軽に遊べるゲームも、こうした罰があると緊張感が増します。また「スネイクピット」は、四角い画面上に表示された蛇状の光を移動させて遊ぶゲームで、広い画面の各辺に設置された4つのボタンを実際に足で踏んで方向を変えます。いつもは手元のボタン一つで遊べるゲームも、広い画面の周りを縦横に走り回って操作するので、遊んでみると息が上がってしまいました。他にもこうした機械がいくつもプレイできるように展示されており、いずれも仮想と現実を結びつける面白い企画でした。

スネイクピット
画面の周りを走り回って操作する「スネイクピット」

どの階にもあちらこちらに係員がいて、気軽に質問したり説明を受けたりできました。郵便や放送、通信など、多種多様なコミュニケーション手段の歴史と発展を学べ、子供から大人まで楽しめました。

コミュニケーション博物館:http://www.mfk-frankfurt.de/
ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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