ジャパンダイジェスト

ハンブルクっ子の必需品!? フィッシャーマンシャツ

ハンブルクのお土産屋さんをのぞくと、サンクトパウリなどのT シャツに混ざって必ずぶら下がっているのがフィッシャーマンシャツ。ドイツ語では「Fischerhemd」といって、紺と白のストライプ柄のこのシャツを、北ドイツの街中で見かけたことがある方も多いと思います。しっかりした木綿の生地でできていて、長さは腰が隠れるくらい。ズボンの上に出して着る、比較的ゆったりとしたシャツです。

お土産屋さんのフィッシャーマンシャツお土産屋さんのフィッシャーマンシャツ

もともとは、北海とバルト海の海岸地区で着られていた民族衣装だそうで、後に北ドイツからオランダ、デンマ-クなどに広まったそうです。主に港特有の職業、例えば漁師や漁業組合で働く人などが着ていましたが、非常に丈夫なので、お百姓さんや大工さん、肉屋さんなどいろいろな職種の人々にも着られるようになりました。そして現在では、普段着のシャツとして愛用する人も多くいます。また、船員の合唱団や、北ドイツの小さな街の男声合唱団などでもユニフォームとして多く用いられています。

マリンキャップもありますマリンキャップもあります

ストライプの太さや、紺色の濃さの違いなど、細かいデザインの違いもありますが、ハンブルクの伝統的なフィッシャーマンシャツといえば、エルベ川の対岸にあるフィンケンヴェルダー地区のものでしょう。幅が細いストライプで、ボタンは白、胸当ての部分だけストライプが斜めになっています。このシャツに合わせて赤いスカーフを首に巻き、マリンキャップ(Elbsegler)を被るのが正統派の着こなしなのだとか。昔、フィンケンヴェルダーの漁師たちが組合を作ったとき、一目で漁師と分かるような作業着を作ろうと、漁師の奥さんがこの丈夫な生地を使って縫ったのが元祖「Finkenwelder Fischerhemd」だそうです。ちなみにフィンケンヴェルダーでは、古い北ドイツの方言で「Buscherump」(胸当ての付いたシャツの意味)と呼ばれています。現在もエルベ川沿いの漁師さんたちは、このシャツを着て働いています。

オリジナルのフィッシャ-マンシャツの生地は、サンフォライズという技術を使っており、60度の高温で洗濯しても縮まないように加工されています。夏は強い日差しから守り、冬は冷たい風を通しにくいのでアウトドア派にも好まれているとか。サイズも豊富で、男性だけでなく女性用、子ども用もあります。私の父も生前、このシャツの大ファンで、帰国のたびに父へのお土産はいつもこのシャツでした。

子ども用もかわいい!子ども用もかわいい!

今回は先月産まれた初孫に、一番小さいサイズのフィッシャーマンシャツを買いました! これでこの子も、ハンブルクっ子の仲間入りかな。

岡本 黄子(おかもと きこ)
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。

 
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