ハンブルクのランドマークの1つである聖ミヒャエリス教会(St.Michaelis)。中心街には5つの中央教会(Hauptkirche)がありますが、その中から1カ所だけ選んで訪れるとすれば、聖ミヒャエリス教会がお勧めです。地元の人々には「ミッヒェル」の愛称で親しまれているこの教会は、実は中央教会の中で一番新しい教会なのです。
教会の内部。イエス復活の祭壇画はガラスモザイク。
受難週の間は布で隠される
聖ミヒャエリス教会の基礎は17世紀、ハンブルクが人口増加に伴って外側へと拡張し始めた時代に建てられました。そのため同教会周辺は、旧市街(Altstadt)に対し新市街(Neustadt)と呼ばれています。12~13世紀にかけて建設が始まったほかの中央教会が重厚なレンガ造りのゴシック建築であるのに対し、聖ミヒャエリス教会は華麗な北ドイツ特有のバロック建築。通常、カトリック教会は凝った装飾が美しく、プロテスタント教会はシンプルですっきりとした造りが特徴ですが、宗教改革の後、初めからプロテスタント教会として建てられた聖ミヒャエリス教会が華麗で美しいというのは、不思議な気がします。
北ドイツのバロック建築の特色は、白を基調とし、自然光を多く取り入れていること。そのため、聖ミヒャエリス教会にもステンドグラスがありません。天井に近い壁にも窓があるのかなと思って見上げてみると、そこには鏡がはめ込まれています。これは光を反射し、明るさを増す工夫だそうです。2年ほど前に全面改装された教会内部は、白が引き立ち、一際明るさが映える空間となっています。また、内部のフォルムも直線ではなく曲線が主流で、柔らかい印象を与えています。天気の良い日には、ハンブルク市内を一望できる塔に登ってみることをお勧めします(大人4ユーロ)。
聖ミヒャエリス教会の外観
2500席を有する聖ミヒャエリス教会は、礼拝や教会行事のほか、質の高いコンサートを開催しています。中でもイースター前の「受難曲」や11月の「ドイツ・レクイエム」、クリスマス期の「クリスマス・オラトリオ」は定番。改装時に行われたオルガンの修復で4台のオルガンが使えるようになり、そのうちの1台は電気で複数のオルガンを操作してその音を上方に集め、天井から音が鳴り響くように設計されているそうです。クリスマスの祝日には礼拝が1日に何度も行われ、一般参加も可能となっているので、ぜひ訪れてみてください。オルガンの伴奏で讃美歌を歌えば、心に光が灯ることでしょう。
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?