Hanacell

ハンブルク近郊アガーテンブルク、 お城でモダンアート展

エルベ川を渡ってハンブルクの南側に行くと、大きな果樹園の、のどかな風景が広がります。エルベ川を河口に向かって行くと、かつては貿易港としてハンブルクよりも栄えていたシュターデという街があるのですが、その直前にアガーテンブルクという村があります。ここには、17世紀に建てられたお城があります。

この地方は、1648年から1712年までスウェーデンの支配下にあったので、このお城はスウェーデン風に建てられており、最初の城主夫人アガーテにちなんで、アガーテンブルクと名付けられました。

アガーテンブルク城
庭園から見えるアガーテンブルク城

領主達はシュターデで執務に当たっていたので、ここに居住していたのは、主に婦人達だったようです。建物はレンガ造りの3階建てで、ルネサンス風。領主の時代を経て、個人所有の邸宅になったこともありましたが、1992年からは財団が整えられ、博物館として、領主時代の調度品など、生活の様子がわかるように展示されています。また、文化施設としても用いられており、プログラムを見ると、ジャズやクラシックのコンサート、演劇や美術展、ワークショップなどが並んでいます。

その一環として、8月13日から10月1日まで「なぜ時計の多くは違った時を刻むのか」と題したモダンアートの展示会が行われました。アガーテンブルク城が建てられた17世紀は、ドイツにおいて、ようやく異なった文化に目が開かれていった時代と言われています。

同展示会は日本人5名、ドイツ人3名によるグループ展で、それぞれ育った文化とアイデンティティにより、まったく異なった個性が表現されていました。日本人の作品の中には、6年前の東日本大震災をテーマにしたものもありました。

モダンアートは、空間自体も芸術の一部として用いられることが多いと思いますが、今回は、特にその印象を強く感じました。というのも、それぞれのアートがお城の一部として一体化して展示されていたからです。もともと槍や銃などの武器が展示してあるコーナーに「夏草や兵どもが夢の跡」と描かれた屏風が立てられていて、作者の意図とは違うかもしれませんが、「武器を取るものは、武器で滅びる」ということを感じました。

屏風
武器コーナーに展示された屏風

城内にはカフェがあり、往年の領主達の生活に思いを馳せつつ、ゆったりとした時間が楽しめます。また、お城の周りには庭園や馬小屋などがありますので、お散歩しつつ、のどかな自然を満喫できます。ここで結婚式を挙げたり、パーティーを開いたりすることもできるそうです。

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?

 
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