ジャパンダイジェスト

ジャグリングの魅力再発見!二人の日本人アーティスト

皆さんは、ディアボロをご存じですか? ジャグリングの道具の一つで、お椀を2個つなげたようなこまを、ハンドスティックを使って空中で回す芸事のことです。おもちゃとしても人気があるようで、先日ハノーファーで行われたアクロバットショーで目の当たりにして、その迫力に心を打たれました。

僕が観に行ったのは、GOP劇場が主催している「Sombra」というショー。Sombraはスペイン語で「影」という意味で、僕が見た回では11人のアーティストたちが、光の芸術に彩られた空間のもとで、ポールダンスやジャグリング、アクロバティックなダンスなど、身体の限界を追求する技で観客を魅了していました。日本人ディアボロアーティストの深河あきらさんも参加しており、四つのこまを空中高く放り投げた瞬間に拍手が湧き上がりました。手に汗を握るようなパフォーマンスの間に、笑いで緊張を緩和させる演出も。個人的に特に感心したのは、多世代を惹きつける表現方法でした。例えば、大きな輪に逃げ惑う大男に5歳の子どもが笑ったり、空中で支え合う男女の姿に80歳のおばあちゃんが息を飲んだりと、言葉を超えて感動を与える芸の連続。エネルギーに満ち溢れた生のパフォーマンスを見ることができて、最高の気分でした。

深河あきらさんのインスタグラム:@diabolistakira深河あきらさんのインスタグラム:@diabolistakira

僕自身は幼少期にサーカスを観に行った記憶もなく、このようなアクロバティックショーにあまり関心がなかったのですが、この舞台をきっかけにジャグリングへの興味が高まっていました。そんな折に、ポイスピナーとして活躍する森屋純さんと知り合い、ドイツでパフォーマンスをする姿を映像に撮らせてもらうことに。

森屋さんが使う「ポイ」もジャグリングの道具の一つ。これはひもの片側の先にボールが付いているもので、もとはニュージーランドの先住民「マオリ」が手首の柔軟性向上のために使っていたといわれています。ボールのほかに布を使うこともあり、シンプルだからこそ無限の可能性を秘めたパフォーマンスです。森屋さんが操るポッドポイは、さまざまな色に発光しながら軌道を変え、幻想的な世界を演出します。薄暗くなったハノーファーの公園で舞うポイの姿に、家路に着く子どもたちの目が釘付けになっていました。

森屋純さんのインスタグラム森屋純さんのインスタグラム:@moriya.jun

森屋さんに聞いたところによると、日本でジャグリングのアーティストとして生きていくのは容易ではなく、欧州に活動の場を求める人も少なくないそうです。練習場所を見つけるのにも苦労があるので、身近に広い公園があるドイツの環境が羨ましいとのこと。子どもから大人まで魅了するジャグリングの楽しさに触れ、芸事を追求するプロの姿勢に刺激を受けました。深河さん、森屋さんのパフォーマンスは彼らのインスタグラムでも見られるので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

国本隆史(くにもと・たかし)
神戸のコミュニティメディアで働いた後、2012年ドイツへ移住。現在ブラウンシュバイクで、ドキュメンタリーを中心に映像制作。作品に「ヒバクシャとボクの旅」「なぜ僕がドイツ語を学ぶのか」など。三児の父。
takashikunimoto.net
 
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