ジャパンダイジェスト

新しく生まれ変わった聖トリ二タティス教会

5月9日、ライプツィヒの中心部に新築のカトリック教会が開かれました。この教会は、ベルリンの壁崩壊後のドイツ東部で建てられた教会の中で最大の規模を誇ります。聖トリニタティス教会としては3代目の建物となり、1847年に旧市街地に建てられた初代の建物は、第2次世界大戦で大きな打撃を受けて、1954年には封鎖され、解体されてしまいました。その後、旧東ドイツ(DDR)の建築アカデミーの設計により、82年にライプツィヒ北西部に2代目のトリニタティス教会が建てられました。しかし、年を追うごとに雨漏りなどの欠陥がひどくなり、その改修費用は膨らみ続け、いよいよ手に負えなくなってしまいました。そのため2000年頃から3代目の新築計画が持ち上がり、2008年に正式な決定が下されました。

聖トリニタティス教会
新しくなった聖トリニタティス教会の外観

翌年には国際建築設計競技が行われ、ライプツィヒの建築設計事務所シュルツ&シュルツの案が採用となりました。三角形の敷地に建つ教会は、交差点に向かう角の地上階部分が通り抜けられるように開放されています。これは、ライプツィヒが見本市の街として発展する中で中心部に多くつくられた「パッサージュ」をモチーフにしています。礼拝堂は14.5メートルもの高さをもち、祭壇の後ろには、22メートルの高さから柔らかな自然光が神秘的に注ぎ込みます。

礼拝堂
礼拝堂

さて、引っ越しが決まって空き家となった2代目聖トリニタティス教会には、次の使命が待ち受けています。ライプツィヒ市は今年1年間で、難民1700名を受け入れることが義務とされており、彼らの住宅を確保することが火急かつ大きな問題となっています。雨漏りする屋根の改修工事が必須とはいえ、難民約120人の受け入れが可能とされる旧教会では、次の役割を果たすための準備が早急に進められています。

ライプツィヒの情報紙 「Kreuzer(クロイツァー)」では、窓が少なくボリューム感の強い形態の新しい教会が「テトリス」「レゴ」と皮肉を込めた表現で批判されています。敷地は歴史的な建造物である市庁舎の向かい側にあり、まったく対照的な現代建築が現れたことで新しい景観を作っています。さらに、これまでカトリック教会ではタブーとされてきた同姓カップルの結婚式が予定されているなど、新旧が交わる新しい風景がライプツィヒにまた1つ生まれました。

Propsteigemeinde St. Trinitatis Leipzig:www.propstei-leipzig.de
建築設計事務所シュルツ&シュルツ:schulz-und-schulz.com

ミンクス 典子
ドイツ建築家協会認定建築家。福岡県出身。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の設計事務所に所属し、10年から「ミンクス・アーキテクツ」主宰。11年より日独文化交流拠点ライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de
 
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