この1年半、オクトーバーフェストやクリスマスマーケットなどが中止となり、季節感をなかなか感じられない状況が続きました。一方で、イベントのオンライン開催などの代替策も普及し、「新しい日常」に慣れてきた方も多いことでしょう。ミュンヘンでもコロナ禍と折り合いをつけながら、前に進もうとしている動きが見えてきました。
IAAモビリティの野外会場に立つ大きな観覧車
その一つが9月7~12日に開催された、大型国際見本市「IA A モビリティ」。今年から世界最大級の旧フランクフルトモーターショーがミュンヘンにやってきたのです。従来のモーターショーとの違いは、自動車のみならずE バイクなどの移動手段にも注目していること。見本市会場だけでなく、実際に人の移動がある市街地を利用したオープンスペースでもさまざまなイベントや展示が実施され、誰もが次世代のモビリティを体験できる場となっています。
せっかくなので、私も参加してきました。まずは3G(接種・快復・検査済み)の証明書を提示して入場。さまざまなブースが両サイドに並ぶケーニヒス広場を通って歩きました。入り口付近には、観覧車が設置されています。バイエルン州の夏季休暇に当たる7月末~8月中旬までの間、オクトーバーフェストの屋台やアトラクションの拠点を街中に満遍なく分散した「Sommer in der Stadt」というミュンヘン市主催のイベントが行われていたのですが、モーターショーの期間までそのまま残されていたものです。このイベントでも、一カ所のビールテントに人々が集中するのではなく、野外かつ街中に散らばるように工夫されていて、今回のIAA モビリティとも似ているかもしれません。
アートと音楽が融合したIAA モビリティのブース
別の会場であるオデオン広場には、メルセデス・ベンツの巨大な2階建てブースが設置され、最新の電気自動車や燃料電池車だけでなく、アートや音楽も楽しめるような工夫がされていました。大きさ24×21メートルのアート作品「Earthtime 1.26 Munich」は、地震後の太平洋の海面を観測した3D データモデルから着想を得たそうで、天候次第で色や形が変わっていきます。その周辺には、バイエルン国立歌劇場前のマックス・ヨーゼフ広場にあるBMWのブースのほか、さまざまな企業が製品や技術を展示していました。
期間中には脱車社会を訴える抗議デモもあったなか、6日間の来場者数は40万人を超えました。次回は2023年を予定。その頃には、日本からも出展しやすくなっていることを期待しています。
オクトーバーフェストの雰囲気が漂うホフブロイの樽馬車
ちなみに翌週の9月18日は、コロナ禍により中止となったオクトーバーフェストの本来の開幕日。ミュンヘンは伝統衣装を身にまとった人でにぎわい、豪華なビール樽の馬車も走り、お祭りムードに包まれていました。IA A モビリティをはじめ、パンデミック収束後もこうした新鮮なイベントコンセプトが生まれることを楽しみにしています。
ミュンヘン生まれ、10歳ごろから京都育ち。大学卒業後、再びミュンヘンに戻る。もともと異文化教育や日独間のコミュニケーションに興味があり、ドイツのPR会社Storymakerに就職。J-BIG編集部として、在独日系企業の情報発信も行っている。 www.j-big.de