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同性愛者のマイバウム

マイバウム(Maibaum:5月の木)はバイエルン州の風習の一つで、長い棒にそれぞれの村や共同体で営まれている手商工業のシンボルの飾りやリースなどが付けられたものです。同州では一般的に、州の旗の色と同じく青と白で塗られたマイバウムが、4月30日から5月1日にかけて街の広場などに立てられ、「マイフェスト」と呼ばれる春を祝うお祭りが催されます。また若い男性たちが、愛する女性の家の寝室の窓の下にこの木を立てるというロマンチックな伝統も知られています。

画廊にあったオリジナルのマイバウム
画廊にあったオリジナルのマイバウム

私が愛読している地元のTZ新聞4月10日号で、「5月1日、ミュンヘン初の同性愛者マイバウムが建立」という記事を発見した時、ぜひこの目でそのマイバウムを見てみたいという衝動に駆られました。ドイツ人の友人知人に同性愛者がいるという理由もありますが、なんだかすごくステキなことだなあと感動したのです。しかし当日は、残念ながらマイフェストに参加することができず、いつか機会があれば絶対に訪れたいと思っていたところ、同新聞5月7日号で「過激派がマイバウムをグレーのペンキで襲撃」という記事を読み、非常に強い衝撃を受けてしまいました。

このマイバウムの創作をオーガナイズした男性同性愛者コミュニケーション文化センター・ミュンヘン(Schwules Kommunikations- und Kulturzentrum München)の代表ラース・フレーリッヒ氏は、こう語っています。「5月1日に数百人の同性愛者と異性愛者が一緒にマイバウムをお祝いしたのも束の間、数人の心無い人間がその喜びをぶち壊してしまいました。本当に理解できない出来事で、悲しみに暮れています」

グレイに塗られたマイバウム
グレイに塗られたマイバウム

ミュンヘンは、ベルリンとケルンに続いて同性愛者が多く住み、現在その数は約10万人です。男性同性愛者が多く住む地域として有名なグロッケンバッハで、多様なライフスタイルを象徴するシンボルになるはずだったマイバウム。先日、ついにそのマイバウムを見に行き、灰色に塗られた哀れな姿をカメラに収めた時、私の心も一緒に灰色に塗られたような気持ちになりました。早く犯人がつかまることを願っています。

ゲッベルみどり
大阪出身。1993年からミュンヘン在住。癒し系ドイツ人夫と、おちゃめな4歳半の娘との3人暮らし。ドイツの携帯電話ゲーム開発会社のQAマネジャー。ブログ 「中途半端でも大丈夫」を公開中。http://miamama.exblog.jp/
 
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