ミュンヘンに引っ越してくるまで、私の中で「ミュンヘンは大都会」というイメージでした。街の中心にある市庁舎に至るまでの歩行者天国は、いつも人であふれています。しかしその多くは観光客であって、もちろん大都会ではあるのですが、住んでみると街自体は結構コンパクトな印象です。そして、土地の人からよく聞く言葉は「ミュンヘンは田舎の都会だからね」。確かに街中に緑が多く、中心の観光地を外れると、すぐにのどかな景色が広がります。そして、街の中心に広大な英国風庭園があるのをはじめ、それ以外にも、市民公園がいくつも整備されているのです。
ガチョウも一緒にフィットネス?
わが家の前にも大きな公園があって、広い草原には水鳥が集う池があり、市民の憩いの場となっています。お散歩やジョギング、インラインスケートをする人々にとっては、ちょうど良いコースが整備されています。ある日散歩をしていると、草原の上に人が集まって、フィットネスが行われているではありませんか。なんと、これはミュンヘン市が提供している「フィット・イン・パーク」というコースでした。
毎年5月1日~9月30日までの毎日18時~18時45分、ミュンヘン市内にある11の市民公園で、無料のフィットネスコースが開催されているのです。事前に申し込む必要もなく、もちろん出欠も取られず、誰でも参加することができます。
いろいろな方が集まってきます
曜日ごとにヨガ、ピラティス、ズンバ、ストレッチなど、何をするかが決まっていて、それぞれトレーナーが前に立って指導してくれます。もちろん雨の日は中止ですが、そこはドイツ人、多少小雨がぱらつく程度であれば決行しているようです。
「これは素晴らしい企画だ!」と思い、私もマットとタオル、水筒を持って参加してみました。草原が平らでないので、やりにくい部分もありましたが、仰向けになって空に向かって足を上げたとき、広い青空が目の前に広がり、なんとも爽快な気分に。これはインドアでは決して味わえない感覚でした。少し離れたところでは、たくさんのガチョウの群れが草を食べていました。これも自然の中でのフィットネスということで、また一興です。
青空に向かって足を上げると気持ちいい!
市民の健康増進のために、このような企画を提供しているミュンヘン市って素晴らしい……。ただしパンフレットには「フィットネス中の事故に関して、ミュンヘン市では保険加入しておりません」との一言。ミュンヘン在住で近くに市民公園がある方、熱中症に気をつけながら、ぜひお試しください。
イエス・キリストに出会って、声楽専攻から牧師に転身。2022年よりミュンヘン日本語キリスト教会牧師。今でも少女マンガ、オペラ、ダンスは大好きです。 www.muc-japan-christ.com/