「イザール川なしでは語れない」といっても過言ではないほど、ミュンヘン市民の生活に根差しているイザール川。春から夏にかけて、暖かな日差しを感じる日には、多くの人が日光浴やピクニックをするためにイザール川や英国庭園へ出向きます。肌寒い季節になると、サイクリングを楽しんだり、ホットワインを飲んで温まりながらイザール川周辺を散歩したりする人も少なくありません。
私自身、京都に住んでいた頃は鴨川が好きで、身近に川があるとなんとなく落ち着く気がします。京都河原町の川床前には、カップルやグループが「等間隔に並ぶ」といわれていますが、ライヘンバッハ橋付近でも同じような現象がみられ、朝から晩まで人々がカジュアルに集まっています。
川の流れに心が安らぎます
この場所からは、「イザール川のノートルダム」の愛称で親しまれる、二つの塔が特徴的な聖マクシミリアン教会がよく見えますよ。ほかにも、近くにヌーディストビーチ(FKK)もあるバーベキューの聖地のフラウハーや、アートフェスティバル「ARTMUC」などのイベントが定期的に開催されるプラータ島、閑静なローゼンガルテンなど、いろいろな顔を持つイザール川にはさまざまな魅力があります。
ピクニックをしていたところ、思わぬ来客が!
今回出かけてきたのは、中心部から少し南下したところにあるグロースヘッセローエ橋。この橋は、ミュンヘン市とプラッハ市の境目に位置しており、さらにイザール川を挟んでグリューンヴァルト市とも接しています。これらの地域はミュンヘン中心部からさほど遠くないにもかかわらず、郊外の村のようなかわいらしい街並みや立派な豪邸が見られます。そして、「WaWi」という愛称で親しまれる「Wald Wirtschaft」という有名なジャズビアガーデンや、バイエルンの映画村「Bavari a Fil mstadt」もこの周辺にあります。
グロースヘッセローエ橋の上をさらに電車が走ります
先日久しぶりのオクトーバーフェストで、ついついビールを飲みすぎてしまった人もいたのではないでしょうか。グロースヘッセローエ橋は、ジョギングやサイクリングにもぴったり!この大きな橋は、トンネルのような構造になっており、中は歩行者や自転車が通れるようになっていますが、なんとその上にはミュンヘン市とホルツキルヘン市をつなぐ電車(BOB)が走っているのです。ガタガタと大きな音が鳴ったときは、とてもびっくりしました。ちなみにこの橋、かつては自殺の名所だったそうで、1985年には落下防止用の柵が設計されて安全性が確保されました。
この柵の間を覗くと、イザール川の素晴らしい景色が見えます。1908年築の 堰 である黄色い小屋やバイエルンレストランに改造された赤れんがの旧駅舎など、かわいらしい建物がたくさんあります。紅葉シーズンを狙って行くのも良さそうですね。
ミュンヘン生まれ、10歳ごろから京都育ち。大学卒業後、再びミュンヘンに戻る。もともと異文化教育や日独間のコミュニケーションに興味があり、ドイツのPR会社Storymakerに就職。J-BIG編集部として、在独日系企業の情報発信も行っている。 www.j-big.de