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多国籍なアート集団 Messy Fingers

先日、知人の紹介で「Messy Fingers」というグループの展覧会に行ってきました。このグループは、ミュンヘン在住のさまざまな国籍のアーティストが集まって活動しています。その出身国は、ドイツをはじめ英国やスペイン、アルゼンチン、エクアドル、日本などなど。「Messy」とは英語で「散らかっている、めちゃくちゃな」などの意味。もとは画家ばかりのグループだったところ、近年になって写真家なども加わり、さらに多様なグループになりました。また展示だけでなく、音楽や演劇も手掛けているようです。グループ展の案内状には、「芸術は、クリエイターと芸術に興味を持つ人々とを結び付ける」と書かれており、手のひらの中に、さまざまな絵がコラージュされたものがデザインされています。まさに「ごちゃまぜの手(指?)」ですね。

Messy Fingers のロゴマークが入った展覧会の看板Messy Fingers のロゴマークが入った展覧会の看板

今回のグループ展は結成10周年を記念して行われ、メンバー9名のうち8名が出品していました。アーティストたちの作風は、抽象画あり、静物画あり、ピカソとゴーギャンを足したような作品あり……とバラエティーに富んでいました。全体のテーマとして「人生のヴィジョン」が掲げられていましたが、アーティストたちが自分の追及しているものを作品の中に映し出すと、それぞれの個性によって違ったものが生まれてきます。メンバーである日本人写真家の安部(ただし)さんは「諸行無常」をテーマに掲げ、平家物語の一節一節に見合った写真を連作として展示していました。日本の風景もありましたが、ミュンヘンの風景も含まれています。日本の学校教育では誰しもが習う平家物語。一行一行、ドイツ語に訳されてはいたのですが、この世界観をほかの文化圏に住む人々はどう受け取ったでしょうか。自分の感じる世界が他者と違っていても、相手の個性を尊重して受け入れ合うこと、そして自分の居場所を確保しつつ、協力して一つの物を形成するという姿勢が、グループのネーミングからも今回の展覧会からも感じられました。

安倍理さんの連作写真「諸行無常」安倍理さんの連作写真「諸行無常」

オープニングセレモニーでは、会場となった文化センターMohr-Villaの担当者が「次の企画として、人種差別主義に反対する何かを探していたところ、Messy Fingersに出会いました。このグループは、多国籍で、その芸術スタイルもさまざま。しかも『創作者と観客』という垣根を取り払い、対話を生む懸け橋になってくれると感じました。まさに私たちが探していたグループです」とあいさつしました。

展覧会の様子展覧会の様子

この記事が出るころには、このグループ展は終わってしまっているので残念ですが、興味を持たれた方は、彼らのウェブサイトを訪れてみてください。

Messy Fingers:www.messy-fingers.com

井野 葉由美(いの はゆみ)
イエス・キリストに出会って、声楽専攻から牧師に転身。2022年よりミュンヘン日本語キリスト教会牧師。今でも少女マンガ、オペラ、ダンスは大好きです。 www.muc-japan-christ.com/

 
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