夜が長く、寒い冬の到来です。鉛色の空の下、グリューワインで手を温めながらのクリスマスマーケット散策は楽しいものですが、寒い時期こそ1年中暖かい博物館巡りはいかがでしょう?
芸術と文化と工業の街ミュンヘンには多くの博物館がありますが、今回ご紹介したいのは「BMW博物館」です。
車好きな方ならご存知だと思いますが、BMWはBayerische Motoren Werke AGの頭文字を取ったもの。ドイツが世界に誇るBMWは、ミュンヘンに拠点を置く自動二輪車、四輪自動車の会社です。1913年の設立時は航空機や船舶用エンジンのメーカーだったこともあり、エンブレムのデザインは丸い縁取りにプロペラを思わせる十字の形。4等分された背景は、バイエルンの州旗にも使われている青と白で塗り分けられていて、青い空と白い雲の中を駆け抜ける飛行機を連想させます。
4気筒エンジンのような本社ビルの下の低い建物が博物館
BMW博物館は、2008年夏にリニューアルオープンしました。展示されている車もさることながら、展示室自体もダイナミックで芸術的。車に興味のない人でも充分に楽しめます。私は入ってすぐに、無数の球体が車の形や幾何学的な形を表現していく展示に見とれてしまいました。ゆるやかなスロープを歩きながら、BMWのエンジンや自動車の歴史を観ていきます。実際に市販された車種だけではなく、初期の飛行機エンジンやレーシングカー、映画「007」で使われたボンドカーも展示されており、ドイツの工業をリードしてきたBMWの革新的な力を見せ付けています。
道を挟んで向かい側の巨大な建物は、最新モデルを展示している「BMW Welt」です。こちらは入場無料ということもあり、大型バイクに子どもをまたがらせて写真を撮る家族や、シュミレーションマシーンに挑戦するカップルで賑わっていました。建物の中心部にある渦巻き型の高台は、納車のための大舞台です。購入者はそこで、ほかの訪問者の羨望の眼差しを浴びながら、ピカピカの自動車を受け取ります。(良いなぁ)
当面はBMWを買うことができそうにない私ですが、ミュージアムショップでエンブレムをモチーフにしたキーホルダーを買いました! そして、いつの日かそのキーホルダーに自分のBMWのキーを付ける日を夢見ながら、博物館を後にしたのでした。
巨大なBMW Welt。渦巻状の高台が納車のための舞台
今月号で「私の町のレポーター」は卒業となります。短い間でしたがこれまで読んでくださり、ありがとうございました。これからはビアテイスターとして、引き続き美味しいビール小話をお届けしたいと思います。こちらもどうぞ宜しくお願いします。
日本地ビール協会ビアテイスター。日本での7年間の看護師生活の間にビールの魅力に取り付かれ渡独する。現在はミュンヘンに拠点を置いて美味しい情報を発信中。「ビアテイスターのドイツビール&ワイン紀行」http://gogorinreise.blog34.fc2.com/