ジャパンダイジェスト

ホフブロイハウスの裏の製粉店

ミュンヘンのビールと言ってまず思い付くのが、「ホフブロイハウス」。皆さんは、その裏手にある粉の専門店をご存知でしょうか?

その名も「ホフブロイハウス・クンストミューレ」(Hofbräuhaus-Kunstmühle)。名前から察しがつく通り、その昔は王室醸造所ホフブロイハウスでのビール醸造の一工程を担っていたところです。ここにある装置は本来、1703年にバイエルン選帝侯のマクシミリアン2世エマヌエル(Maximilian II Emanuel)が当時の最先端技術を駆使して造らせたもので、これを使って麦芽(Malz)を加工する作業が行なわれていたとのことです。その装置が現在の所有者であるブルーム家の手に渡ったのは、1921年のことです。その後装置は製粉機に改装され、第2次世界大戦の戦渦からも逃れ、今なお活躍しています。

ホフブロイハウスの裏の製粉店
今も現役の「看板娘」は粉のエキスパート、
ブルームさん。何でもお尋ねください

このお店では、その歴史ある製粉機で製粉されたばかりの新鮮な粉が購入できます。種類の豊富な小麦粉をはじめ、米粉、きな粉、そば粉まで、あらゆる粉が揃っています。私がここで初めて試したのは、イタリア産のピザ用粉でした。これが気に入り、再度買いに行ったところ、今度は店のオーナーのブルームさんにマニトバ粉(Manitobamehl)というものを薦められました。マニトバ粉とは強力粉(Typ 550)のことで、グルテン(たんぱく質)の割合が多く、これを使ってパンを焼くとコシのある仕上がりになるそうです。ブルームさんの、「この粉で焼いたパンは本当に美味しいのよ」の言葉にのせられて、1kg買ってみました。

後日、この話を知人にしたところ、このマニトバ粉は料理好きな在独日本人の間でも人気があるそうです。通常は高値で売られているものだそうですが、ここでは1kg当たり1.50ユーロで販売されています。また、インターネットで注文すれば、配送もしてもらえます。ドイツパンも美味しいですが、日本で食べていたようなもちもちとした食パンが恋しくなったら、マニトバ粉を使って手作りパンに挑戦してみるのはいかがでしょうか。

お店の中は簡素で清潔な雰囲気で、粉類以外にも様々なビオ(BIO)の食材が並んでいます。店内の奥の方には、昔は帳簿をつけるのに使われていたという18世紀製造のアンティークのタイピング・マシーンもあり、覗いてみるだけでも価値のあるお店です。街に出掛けたついでに、ぜひ一度足を運んでみてください。

www.hb-kunstmuehle.de

ホフブロイハウスの裏の製粉店
昔と変わらぬ佇まいの店構え

さかいざわ はる
2004年よりミュンヘン在住。主婦の傍ら、副業でWEBデザイナー。法律家の夫と2人暮らし。クラブ通い、ゴルフが趣味のおばさん。
 
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