2011年は日独交流150周年の年。ここミュンヘンでの関連イベントは、1月22日に行われた由緒ある金春流の能舞台「清経」で幕を開けました。私も鑑賞に行ったのですが、開演に先駆け、金春座の能楽師の方から作品の背景や 能舞台の見方、衣装の色使いなどについて解説があり、この公演が「Gasteig(ガスタイク)」の会場を埋め尽くす観客全員にとって日本文化に触れる素晴らしい機会になったことは間違いありません。しかしながら、この美しい色彩にあふれた舞台の様子は、残念ながら写真でお見せできませんので、今回はその翌日に同じ会場で行なわれた別のイベントをご紹介します。
「ボランティアの見本市(Freiwilligen Messe)」と聞いて、皆さんはどのようなものを思い浮かべますか?この見本市は今年で5回目を迎える市主催のイベントで、非営利の社会福祉団体が自分たちの活動をアピールできる場となっています。
小さな子どもの心を掴む遊びの要素も欠かせません
「赤十字」や「カリタス」などの社会福祉団体は知名度が高く、その活動内容もよく知られていますが、ほかにも児童・青少年や女性、難民の保護団体、病気克服のための自助団体など、多くの組織が存在します。今回は約80団体が参加。今年は「ヨーロッパにおけるボランティア年」ということで、市もこの見本市に一層力を注いでいるようでした。会場で目立ったのは、やはり高齢者をテーマにしたブース。都市化に伴う社会問題はこの街でも起こっており、核家族化によって孤立する高齢者や子ども、そしてその家族全体をサポートできる福祉制度が必要とされています。
そこでミュンヘン市は、兼ねてより福祉政策の一環として、さらに失業対策にも繋げようという狙いから、このようなボランディア活動への積極的な参加を市民に奨励し、必要な知識・技術習得ための研修制度を設けています。また、ボランティア活動は立派に履歴書に書けることであるとも謳っています。
入り口では、パンフレットを持ち帰るための
布製の袋が配られていました
この見本市の数日前には「München dankt(ミュンヘンからの感謝)」として、市から認定されている団体への感 謝の意を込めた謝恩会も開催されました。この会には市内の消防団や環境、動物保護、文化、教育、スポーツ活動に携わる約170名のボランティアが招待され、クリスティーネ・シュトローブル副市長より、労いの言葉が贈られました。
「ミュンヘンは市民1人ひとりにとっての故郷であるべきです。住み良い街にするため、そして市民が生活を楽しむために、福祉は重要な課題なのです」。これは、日頃よりシュトローブル氏が掲げている言葉。外国人の私も、ミュンヘンの一市民です。第2の故郷への貢献を今後の新たな課題にしたいと思います。
2004年よりミュンヘン在住。主婦の傍ら、副業でWEBデザイナー。法律家の夫と2人暮らし。クラブ通い、ゴルフが趣味のおばさん。