私の街のレポーター ミュンヘン München

バイエルン州には、カトリックの伝統が今なお根強く残っています。教会や大聖堂などの歴史ある建築物を訪れると、キリスト教徒でなくとも敬虔な気持ちになり、心が洗われます。今回はミュンヘンの南西約40キロ、標高700メートルの丘の上に立つ聖地アンデックス修道院をご案内しましょう。

アンデックスへ至る道は、バイエルン最古（1455年開通）の巡礼街道とされていますが、現在では気軽にバスでも行けるようになりました。出発地はSバーンのHerrsching駅。天気の良い週末にはここから大勢の人がバスないし徒歩でアンデックスへと向かいます。私は今回、歩いて行くことにしました。駅前に地図があるので迷う心配はなく、道もきれいに整備されていますし、分かりやすい標識も立っているので子ども連れでも安心して歩くことができます。

まずは住宅地を抜け、「聖なる丘（Der Heilige Berg）」へ。小川が流れ、木漏れ日の射す静かなハイキング道を1時間半ほど掛けてゆっくり登ると、 丘の頂上に立つ修道院に到着。ひと歩きして汗ばんだ身体を、心地良い涼風が吹き抜けていきます。

アンデックス修道院はビール醸造を行っていることでも有名で、醸造所の見学ツアーもあります（要予約）。ここには眺めの良い大きなビアガーデンがあり、バスで訪れる国内外からのツアー客や山歩きの後の喉を潤す人々でいつも賑わっています。また、オクトーバーフェストが開幕する週の木曜日は「キウイ・デー（Kiwi Tag）」と名付けられ、陽気なニュージーランド人やオーストラリア人が500人以上も集まって前祝いをすることで知られています。

ハイキング後のビールは格別！

また、この修道院は音楽とも深い繋がりがあります。「カルミナ・ブラーナ（Carmina Burana）」という世俗カンタータを手掛けたバイエルンが誇る作曲家カール・オラフがここに眠っていて、毎年夏にはオラフを記念した音楽祭が開催されます。彼の墓所は教会の一角にあり、シンプルな墓標ではありますが、参拝する人が絶えません。

教会のパイプオルガンは最近新しく作り直されたものですが、その建設費を捻出するために教会は寄付を募っています。寄付をする人は、金額に応じて鍵盤を1つ指定することができるそうです。毎週土曜日に定期コンサートが行われていますが、「私がこの“ド”の音を作ったのね」なんて考えるのは、きっと楽しいでしょうね。美しい自然を楽しむことができるアンデックスへの道。秋の1日、スポーツ、食欲、芸術のすべてを堪能することができる巡礼地に出掛けてみませんか？

この階段を登れば修道院に到着

Kloster Andechs：
www.andechs.de/kloster-andechs.html