ジャパンダイジェスト

狩猟漁業博物館とドイツの狩猟事情

マリエン広場とシュタフス(カールス広場)を結ぶミュンヘンの目抜き通り、ノイハウザー通り。歩行者天国の中間地点辺りには、横座りするイノシシと、大口を開けた魚の銅像が置かれていて、子どもたちが魚にまたがって写真を撮る姿が見られるなど、ちょっとした観光スポットとなっています。銅像に目を奪われて見過ごしがちですが、ここは「ドイツ狩猟漁業博物館(Deutsches Jagd- und Fischereimuseum)」の入り口なのです。

かわいらしいイノシシの像が目印
かわいらしいイノシシの像が目印

ミュンヘンは自然に囲まれた農業地帯ですが、狩猟と漁業も昔から盛んです。この博物館では、狩猟と漁業の道具や歴史を紹介しており、獲物の革で作られた家具などが展示されています。

かつて上流階級の住居として使われていた建物内には、アプス(Absis・建物の端に位置する半円形の部屋)と 白の間の2つのホールがあり、パーティーやレセプション、コンサート、展覧会への対応が可能です。シカの角が飾られたホールの天井は高く、趣きがあります。

立派なクマやシカがお出迎え。
立派なクマやシカがお出迎え。お土産に、動物グッズはいかが?

狩りの歴史を支えてきた狩猟愛好家たちの後継者である現代の狩猟免許保持者は、ドイツに約36万人(うちバイエルン州は約5万人)います。この数字は近年増加しており、10年前と比べると2万3000人も増えています。うち25%が女性で、40%を都市部の住民で占めているそうです。狩猟免許取得者の多くは、「狩りそのものよりも、自然について深く学び、自然との結び付きを深めたい」という動機から勉強を始めるそうです。免許取得のためには、実技、狩猟犬について、そして自然保護・森・農業、野生生物、関連法律と狩猟用の武器、猟果の解体方法などについて、計60時間の講義を受講する必要があります。筆記試験に合格したら、経験豊富なハンターの下で、さらに60時間の実地訓練を受け、野生動物に関する知識だけでなく、各種植物や樹木についても学ぶそうです。

ドイツでは、すべての野生動物が「法的な所有者がいない」とみなされ、都市部や集落などの居住地を除いて、原則どこでも狩猟が可能です。なお、農地と農地内の森では「狩猟権」を持たない人の狩猟が認められないなど、場所や季節による様々な決まりがあります。ハンターは3年間の経験を積んだ後、レンタル料を支払って「狩猟エリア」を狩猟協会から一定期間借り受けることができ、狩猟の権利とともに、このエリアを保全する義務も負います。エリアの規定に則って、野生動物によって農地や草地に被害が生じないよう管理し、また生じた場合には保全作業を行います。

さらに、野生動物との事故への対応も義務付けられています。ハンターの努力に敬意を表し、事故を起こさないように心掛けたいと思います。

www.jagd-fischerei-museum.de
Y. Utsumi
2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。会社員を経て独立し、現在はフリーランスとして活動中。家族は夫と2匹の猫で、最近の趣味はヨガとゴルフ、フルート。
 
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