ミュンヘンと日本の間には、日本開国以来の長い歴史があります。すでに19世紀半ばには、ベルリンなどに次いで、ミュンヘンの大学でも多くの日本人留学生が学業に励んでいました。2度の大戦を乗り越え、第2次世界大戦後の復興期からは、学術交流に加え、経済発展においても両国の繋がりはさらに強くなっていきます。現在、ミュンヘンには約250の日本企業が支店や事務所を構え、3000人余りの日本人が暮らしています。日本から訪れる観光客は、年間約10万人に達します。
また、日本とドイツの交流を支える団体も数多く存在します。中でも、バイエルン独日協会(Deutsch-Japanische Gesellschaft in Bayern e.V.)は50年以上の歴史を持ち、会員数は800人を超えます。日独交流の促進を目的とし、ドイツ社会へ向けて、日本の文化や歴史、経済、学術、社会の各分野の紹介に取り組んでいます。設立当初から、囲碁や生け花といった伝統文化や日本語などの普及に携わり、現在では年間80にも及ぶ多彩なイベントを開催しています。
生け花の体験コーナーは大人気
毎年7月頃には、このバイエルン独日協会と日本国総領事館、ミュンヘン日本人会の3者共催により、日本文化を紹介するミュンヘン日本祭り(ヤーパンフェスト)が開催されます。今年で20回目を迎えるこの催しは、年々規模が拡大し、近年では1万人以上が訪れるイベントに発展しました。
会場は、イギリス庭園内にある、小川で区切られた瀟洒な茶室「閑松庵(Kanshoan)」の一角です。普段は散策を楽しむ人がいるだけの静かな場所ですが、この日は多くの日本文化愛好家で賑わいます。来場者の中には、コスプレに身を包み、写真撮影のリクエストに応えてポーズを取る若者たちもいます。 日本食の屋台も並び、お昼時には長蛇の列ができるほどの人気です。舞台では、和太鼓や箏の演奏、日本舞踊、剣術などを披露。さらに会場の至るところで、各種の日本スポーツ同好会や日本文化同好会によるデモンストレーションを楽しむことができます。生け花や囲碁、俳句、また漫画の体験コーナーなどもあり、ここミュンヘンに、これほど多様な日本文化のサークルがあることに驚かされます。昨年訪れた際、会場で日本文化の素晴らしさを紹介するホストにドイツ人が年々増えており、以前に比べて日本人が少数派になりつつあることに気づきました。若干の寂しさと同時に、ドイツ社会における日本文化の裾野の広がりに頼もしさを感じました。
日本の心と技を伝える
今年のミュンヘン日本祭りは、7月19日(日)に開催されます。会場では、ドイツ語版日本情報誌『Japan Digest』(ドイツニュースダイジェスト発行)が無料配布されますので、日本に興味をお持ちの方へぜひご紹介ください。
ミュンヘン日本祭り(Japanfest)
日時: 7月19日(日)11:00~
場所: イギリス庭園裏千家茶室周辺(Haus der Kunst裏側)
バイエルン独日協会: www.djg-muenchen.de(ドイツ語)
ミュンヘン日本人会: japanclub-munich.de(日本語)
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで 通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。 2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。