ドイツの最高峰ツークシュピッツェ(Zugspitze) は標高2962メートル、バイエルン州南部の観光都市ガルミッシュ=パルテンキルヒェン(Garmisch- Partenkirchen)の南西に位置しています。山頂にはオーストリア(チロル州)との国境が通っていて、ドイツ側、オーストリア側それぞれからロープウエーなどで登ることができるため、登山客はもちろん、観光客も気軽に訪れることができます。ドイツ側のロープウエー乗り場のある麓には湖が広がり、厳しく切り立った岩山と、蒼く輝く静かな湖面のコントラストには思わず目を奪われます。標高約1000メートルに位置するアイプ湖(Eibsee)です。
ドイツ・アルプスの自然を満喫
アイプ湖の大きさは、周囲約8.8キロメートル、深さ約35メートル。イザール・ロイザッハ氷河の後退によって形成された谷にできた氷河湖です。アルプスから流れ込む川はありますが流出する川が無く、北東約2キロメートルにあるクレプ川と地下でつながり源流となっているのではないかと推測されています。特筆すべきは、湖水のエメラルドグリーンやブルーが混じった美しさと、その透明度の高さ。「バイエルン・アルプスで最も美しい湖」と呼ばれるのも、うなずけます。湖畔には、この湖の所有者でもある家族が経営するホテルがあり、テラスからは美しい景色を眺めることができます。また、湖の周囲には散策路が整えられ、約2時間で一周することができます。なだらかな道のため、ベビーカーを押しながら自然を楽しむ家族連れも珍しくはありません。四季折々の美しさを楽しむことができるこの道は、常に多くのハイカーでにぎわっています。
エメラルドグリーンの湖面が神秘的
私が訪れたのは、珍しくまだ暑さの残る9月中旬でした。標高の高いこの辺りはミュンヘンより気温が低いのですが、それでも30度近い暑さ。少しでも涼しさを味わいたく、貸しボートをレンタルして湖面に乗り出しました。湖から見上げるツークシュピッツェは、さらに迫力があります。湖水は波もなく静かなので、ボートを操るのは難しくありません。湖の南西には遊泳場が設けられ、湖水浴を楽しむ人々も見られます。暑い日には格別に気持ちが良さそうです! 小さな島にボートで乗り付け、上陸している人たちもいます。なんだか、自分だけの島のような気分を味わえそうですね。北東側の岸辺にも、水泳や日光浴を楽しんでいる人たちがいます。そこは遊歩道からは見えない位置にあるため、静かな場所を求めるタイプにはもってこいです。
さて、今年はもう泳ぐよりはハイキングに適した季節になりました。約9キロメートル離れた町ガルミッシュ=パルテンキルヒェンや、美しい庭園で知られるリンダーホーフ城(Schloss Linderhof)などと併せて、秋の1日が楽しめそうです。
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで 通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。 2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。