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シュトゥットガルト路面電車ロマン

2013年はシュトゥットガルト交通連盟(VVS)にとって乗客数最多記録更新の年になったと、先日、地元メディアが伝えていました。乗客数は前年比1000万人増。この増加幅は過去20年で最大だそうです。ガソリン式自動車の故郷として知られるシュトゥットガルトですが、実は昔から公共交通機関もとても発達していました。その歴史を知るべく、カンシュタットにある路面電車博物館(Straßenbahnwelt Stuttgart)を訪れました。

標識ももちろんアナログ
標識ももちろんアナログ

シュトゥットガルトに路面電車が初めて登場したのは、今から146年も前の1868年のことです。厳密に言うと「路面馬車」。当時は、レール上の車両を馬に引かせて動かすというものでした。89年にシュトゥットガルト路面電車株式会社(SSB)が成立し、その6年後にはすべての列車が電気で駆動するようになりました。そして1926年に路線バスも加わり、かなり広範囲の公共交通網が出来上がります。そして、62年からワンマン運転の時代に突入。その2年後に切符の自動販売機が導入され、66年に初めて地下鉄が走り……と、短期間で目まぐるしい発展を遂げてきました。

路面電車博物館に展示されているのは、1世紀半前の「路面馬車」から今日に至るまでにシュトゥットガルト地域を走ってきた電車のモデル。それぞれのモデルの愛称や活躍した年代、エピソードなどがパネルで詳細に紹介されています。いくつかの電車は、現物に乗り込んで座席に腰を下ろし、じっくりと内部を見ることもできます。現役時代の広告や張り紙がそのまま残されていて、中にいると何ともノスタルジックな気分に。すぐ隣の席から同乗者の会話が聞こえてきそうな気がします。その他、パーティー列車やカフェ列車もありました。

1868年に初めて登場した路面馬車のレプリカ
1868年に初めて登場した路面馬車のレプリカ

さらに、電車の下に潜り込んで、普段は見られない電車の裏側も見学できます。また、各時代の座席に実際に座って比べてみるコーナーや、昔の切符売り場や販売道具を展示するコーナーもあり、どれもアナログで、レトロな雰囲気がかわいらしく感じられました。そういえば先日、100万枚目となるVVSのスマートフォン切符を買った乗客が記念品を授与されたというニュースが報じられていましたが、十年一昔と言いますから、現在の紙の切符が消える日もそう遠くないのかもしれません。

毎週日曜日には、オールドタイマー路面電車の21番とヴィンテージバスの23Eに乗ってシュトゥットガルトの街中を回るツアーが開催されているほか、結婚式のパーティーなど、プライベートでの電車の貸し出しも行われているようですので、レトロな旅にご興味がある方はぜひ。

www.strassenbahnwelt.com
郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
http://kakueinan.wordpress.com
 
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